県統計課職員が小中高校と大学で実施している出前授業が、日本統計学会の統計教育賞を受賞した。人口や産業など身近なデータからグラフを作ったり、傾向を読み取る力を養う功績が評価された。
 出前授業は、身近なデータを題材にした体験型の授業で、昨年七月から始まった。夏の暑さをテーマにした授業では、年間の真夏日の日数データを元に、児童が棒グラフを作成。次に熱中症患者発症数のグラフを作り見比べさせることで、気温が高いと発症が増える傾向をつかむ。農業や商工業、自然環境といった地域の題材を用いることで、郷土学習にもつながる。清水浩二課長補佐は「いかに楽しみながら統計を学べるかに気を配った」と話す。出前授業の実施校は、これまでに十二校。統計学習が、学習指導要領にも組み込まれたことから、県統計課は今後、過去の講座のテキストを公開し、学校の教材として役立ててもらう予定。出前授業の依頼は県のホームページで受け付けている。(多園尚樹)

本記事では,岐阜県における統計教育の取組を紹介.
「日本統計学会統計教育賞」*1を確認させていただくと,「日本統計学会が地方自治体を表彰するのは,統計教育賞に限らず,岐阜県が初めて」*2の受賞となる模様.
同賞の受賞に至った活動内容は,2011年7月から「新学習指導要領に統計の内容が盛り込まれたことを踏まえ」て,「若い世代」に「統計に慣れ親しみ,データの分析・活用の実践やデータからみた」,同「県の特徴やじまんなどについて学んでもらうことを目的」に,「県内の小中学校,高校や大学等に統計課職員が出向く出前講座を実施」されてきたことが評価されている.同活動は,2012年7月時点で「小学校」は「1校(31名)」,「中学校」は「8校(950名)」,「高校」が「1校(40名)」,「大学」が「2校(65名)」と「15の学校,約1,100名が受講」*3の実績されている.なお,実際の実施状況は,同県HPを参照*4
「個別の官庁統計の調査主体の意図とはまったく反対に,利用範囲の狭隘な,目先的な行政目的にのみ奉仕する統計の作成」による「統計利用者の困惑」,更には「社会的事実の隠蔽」*5の虞も指摘されたこともある政府統計.そのため,いわば「叢生状態」*6ともなる政府統計のなかで,被調査者ともなりうる蓋然性が高い住民側がまずは何を使い,何を読み解くかを経験することで,将来的な統計調査の実査を受容する基礎づくりともなりそうな同取組.他の都道府県への波及されると,興味深そう.