福山市の本年度のメタボリック症候群の特定健診対象者約8万人のうち、8月末までに受診したのは2783人(約3%)にとどまっている。市が本年度始めた自己負担無料化などで昨年度同期に比べ約4割増えたが、国の目標(65%)の達成はほど遠い。市は14日まで市役所でPRし、受診を呼び掛ける。
 特定健診は40〜74歳が年1回受けられる。しかし市の国民健康保険国保)加入者の受診率は2010年度、広島県内23市町でワースト3の13・6%と低迷。集計中の昨年度も10%台となる見通しだ。市は本年度、個別健診1500円、集団健診千円だった自己負担を一律無料化。過去実績の約2倍の30%を最低限の目標にした。8月末までの受診者は昨年度比839人増加。ただ年間の受診率は20%台のペースだ。市成人健診課は「例年涼しくなる秋が受診ピーク。PRを強める」とする。同課=電話084(928)4747。

本記事では,福山市における特定健康診査の受診率を紹介.
本記事でも紹介されているように,「国民健康保険」への「加入」者であれば,「個人負担額が全員無料」*1とされている特定健診.同市では,「9月」を「健康増進普及月間」と位置づけ,「健康運動指導士等による運動教室」*2を開催され,特定健診への受診を促されている.一方,本記事を拝読させて頂くと,2012年度の8月末までの受診状況は,「対象者約8万人」に対して「2783人」と「約3%」の現状にあるという.悩ましい.
特定健診の受診率の低さは,生活習慣病に至ることもまた,個々の対象者にとっては印象として「低確率の事象」として捉えられ「本来すべき懸念よりも弱い懸念しか示されない」」*3からなのだろうか.とはいえ,「最悪のシナリオ」に「たまに注意を払う」ことで「人生をすっと長く楽しむことができる」*4はず.そのためにも,やはり「予防措置による利得と損失」*5を明示することで,受診率の向上も可能だろうか.考えてみたい観察課題の一つ.

*1:福山市HP(分類でさがすおとなの健康)「特定健康診査

*2:福山市HP(分類でさがすおとなの健康)「9月は,健康増進普及月間です

*3:キャス・サンスティーン『最悪のシナリオ』(みすず書房,2012年)142頁

最悪のシナリオ―― 巨大リスクにどこまで備えるのか

最悪のシナリオ―― 巨大リスクにどこまで備えるのか

*4:前掲注3・キャス・サンスティーン2012年:297頁

*5:前掲注3・キャス・サンスティーン2012年:292頁