ソウル市が4年5カ月にわたる工事と1カ月間の引っ越しを終え、13日から新庁舎での市政業務に入った。新庁舎は地下5階、地上13階規模、延べ面積9万788平方メートルで、投入された予算は2989億ウォン(約210億円)だ。住宅政策室、福祉健康室、女性家族政策室など11の室・本部・局と59の部署が新庁舎を使うことになる。市長室は6階に配置された。工事期間中臨時本庁として使ってきた西小門(ソソムン)庁舎もソウル市が使い続ける。これでソウル市庁の業務空間は本庁である新庁舎と西小門庁舎、乙支路(ウルチロ)庁舎、南山(ナムサン)庁舎の大きく4カ所に分かれることになった。
この日開館した新庁舎は市民便宜施設があちこちに配置されたのが特徴だ。地下1〜2階市民庁と8〜9階に多目的ホール、8〜10階ハヌル(空)広場、旧庁舎を改造して作ったソウル図書館などだ。 地下1〜2階には来年1月開館予定の結婚式などが行えるイベントホールと市民プラザ、ワークショップルーム、展示室、ギャラリー、カフェが設置された。ソウル市は現在イベントホールで結婚式を挙げる市民庁結婚第1号カップルを探している。エピソードがあるカップルを優先的に選ぶ予定だ。結婚式などイベントホール利用料は1件当たり10万〜20万ウォンで策定される予定で、収容人員は100人以内だ。ソウル市ホームページ、市民庁フェイスブックページなどで申込書をダウンロードし20日までに申請すれば良い。 個人が公演ができる1人自由舞台も用意されている。地下1階のデザインショップでは青年創業企業と社会的企業で作った衣類などの製品200種類余りを展示、販売する。
1階の「開かれた民願室」は民願業務を受け付け、授乳室、相談室など市民便宜施設が用意されている。3〜4階には6つの同時通訳室を備えた200席規模の大会議室が入った。8〜10階のハヌル広場も市民休息スペースだ。地下1階に用意された展望用エレベーターで結ばれ、障害者のバリスタが運営するカフェがある。500席規模の8〜9階多目的ホールは講演と公聴会、小規模公演ができるよう音響と照明施設を備えた。
旧庁舎はソウル図書館として整備され26日に開館する。地下4階、地下5階規模で、保有蔵書は10万冊だ。閲覧席390席を備えた。2階には新庁舎とつながる通路がある。ソウル図書館1〜2階は一般資料室で午前9時から午後9時まで開放される。3階の市政資料室、4階の世界資料室は午後6時まで。月曜日は休館する。
ソウル市は13日午前にソウル広場で開庁式を開いた。朴元淳(パク・ウォンスン)市長がキム・ミョンス市議会議長、市民代表らとともに市庁の表札を除幕し新庁舎ツアーを進めた。また、市民1000人が伝統的な引っ越し祝い行事を再現した。 ソウル市は15日から新庁舎を体験できるツアープログラムを運営することにした。平日2回、週末4回ずつ進行される。ソウル市のインターネット予約ホームページを通じて申請することができる。ソウルを訪れる外国人観光客向けに日本語、英語、中国語のツアーも準備されている。

本記事では,ソウル市における新庁舎の利用開始について紹介.
2008年8月3日付の本備忘録での記録以降も,2009年9月19日付2010年3月7日付2010年10月28日付の各本備忘録にて記録したように,同市を訪問させて頂くたびに,徐々に移り変わる様子も眺めてきた同市庁舎.2008年8月28日付の本備忘録にて記録した韓国文化財庁との対立も経て,本記事では同市庁舎が完成,使用を開始されたことを紹介.同新庁舎の姿は,同市の2012年8月30日付のニュースリリースを参照*1
ニュースリリースを拝読させて頂くと,「新庁舎の8・9階」には「大規模な会議・発表会・討論会」の利用を目的とした「500〜700席(固定式座席197席を含む)の多目的ホール」や「3・4階には6ヶ国語の同時通訳が可能な200席の大会議室」が設置.そして,「地下1・2階」は「市民が中心となって利用できる触れ合いの空間」も置かれている,という.庁舎前の広場とともに,庁舎内での交流が可能な空間が置かれた模様.また,「新庁舎」では「エネルギー使用量の約28.3%をエコ・新再生可能エネルギーでまかな」われている,という.一方,「ファザード(外観)保存」*2「外壁の保存」*3された「 旧庁舎」に関しては「「ソウル図書館」としてリニューアルオープンする予定」とのこと.同ニュースリリースの写真からも,興味深そうな同市庁舎.是非,間近で観察してみたい.

*1:ソウル市HP(ソウルニュース)「ソウル市の新庁舎、4年5ヶ月の工事を終え、内部を公開

*2:村松貞次郎『日本近代建築の歴史』(岩波書店,2005年)266頁

*3:西澤泰彦『日本の植民地建築』(河出書房,2009年)211頁

日本の植民地建築―帝国に築かれたネットワーク (河出ブックス)

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