屋外広告物を規制する佐賀市の条例が、来年4月から“実働”する。違反者は氏名公表や罰金もある厳しい条例だ。市は現在、実態調査を進めているが、所有者が改修費用を負担することなど、撤去や改修への課題も多い。
 佐賀市屋外広告物条例は2008年4月に施行された。広告設置の許可申請や違反広告の改修を猶予する経過措置を5年間設けていたため、来年4月が「本格施行」になる。規制対象は市全域で、まず禁止地域と許可地域を設定。許可地域内は田園地帯や商工業地域など地域特性に応じて規制内容が違う3区分を設け、広告物の大きさ、建物に対する広告物の比率などを定めている。例えば、幹線道路沿いの商工業地域にある壁面広告は、壁面の半分を超えると規制対象になる。建物の高さの半分を超える屋上広告も規制する。
 佐賀市は市内を252地区に分け、全ての広告物を対象に実態調査を進めている。現在終了した67地区をみると、屋外広告物9047件のうち、4・5%にあたる407件が違反していた。市は12月中に調査を終え、来年1月中に違犯している全ての所有者に通知して是正を求める。広告規制の条例は佐賀県条例にもあり、佐賀市と同様に経過措置を経て来年4月からの“実働”となる。佐賀市とは規制内容が少し違うが、県は来年2月までに、独自条例のある佐賀市以外の県内全体で、条例内容を周知し、是正を求めていく方針。
 規制は実働するが課題もある。看板の改修費用は所有者の負担で数百万円かかる場合もあるとみる。市建築指導課は「景観保全という考え方が浸透しておらず、どうやって費用負担を理解してもらうかが難しい」と漏らす。条例では、所有者が改修などの勧告に従わない場合、氏名や住所などを公表できる。撤去に従わない場合は、50万円以下の罰金を科すこともできる。同課は「経過措置を延ばすことは考えないが、費用を出せないなど状況に応じて改修に猶予が必要なケースが出てくるかもしれない。柔軟に対応できれば」と話す。

本記事では,佐賀市における屋外広告物条例について紹介.
同条例附則2に規定では,経過措置として2008年の「施行日から5年間」は「従前の例により表示し,又は設置することができる」*1とされてきた屋外広告物.2013年3月末に経過措置が終了し,同年4月から「実働」.本記事を拝読させて頂くと,同市内で調査済みの67地区に「9047件」の屋外広告物があり「407件」が違反に該当する模様.ただし,「看板の改修費用は所有者の負担で数百万円かかる場合」も,本記事では報道.「地域単位・業界単位」への「ポジティブ・サンクション」*2も対応策の一つとなるのだろうか.

*1:佐賀市HP(市政案内:行政情報景観屋外広告物条例について)「佐賀市屋外広告物条例

*2:高村学人『コモンズからの都市再生』(ミネルヴァ書房,2012年)241頁

コモンズからの都市再生―地域共同管理と法の新たな役割

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