宮城県富谷町が、弁護士の資格を持つ司法修習修了者を新年度に職員として採用する方針を固め、近く募集を始める。採用後は町民からの相談や条例の審査などの業務に当たってもらう。県によると、弁護士の資格取得者の採用が実現すれば、県内の基礎自治体では初めてとなる。
 町は、4月に弁護士の有資格者1人の採用を検討。3年間の任期付き職員として募集する。年間報酬は約480万円で、15年程度勤務する大卒職員に相当する。職務は法律に関わる町民の生活相談業務、行政訴訟への対応、条例作成のチェックなど。弁護士活動に必要な仙台弁護士会への登録をしないのが条件で、町の職務に専念してもらう。町は、広報誌や日弁連の就職あっせんホームページなどを通じて募集を呼び掛ける。
 日弁連によると昨年末現在、弁護士の有資格者で地方公共団体に採用されているのは38人。神奈川県や東京都町田市などで、法務部門の業務などを担当している。県も震災対応のため、今月1日付で法務専門の任期付き職員を採用した。司法制度改革で司法試験合格者が増加し、行政職に就く人は増えているという。関連条例案を審議した町議会(定数20)の12月定例会では「相談業務は法律知識ではなく、行政や人生の経験に通じることが大事」「資格のあるなしだけで採用する意義があるのか」などの疑問が出た。条例案は11対8の賛成多数で可決した。町総務部は「高度な専門知識のある職員を置き、住民サービスの向上を図りたい」としている。

本記事では,富谷町における任期付職員の採用方針を紹介.同採用方針は,同町HPを参照*1
同町では「市制移行の準備期間にあたる平成25年から平成27年までの3年間」,「条例・規則をはじめ、諸法令の体系整備」「コンプライアス徹底に専門家の力量」を高めることを目的に,同職の採用を開始.受験資格は「平成25年4月1日現在で,満40歳未満」で「弁護士資格を有する」こと.なお,「弁護士名簿未登録者を含む」*2ともあり,経験者には限定されてはいない.
このように,経験者に限らないこともあり,同町では,同職で勤務するメリットを提案されている点も特徴的.まずは,同「町及び郡 域内に弁護士事務所がない「空白地」」であるため,「資格を有する意欲方」に「公務員としての身分」による「安定的な収入得ながら,弁護士の資質を高め」「早期に独立できる基礎を築くこと」が可能である点,二つめに,「3年(本人の同意を得た場合は最長5年)勤務」後には,「地元で法律事所開業を支援」する点,そして,最後に,「支給要件を満たし場合」「3年勤務で約90万円,5年勤務で約150万円の退職手当が支払」われるため「事務所開業資金に充てること」*3が可能であるという.任期終了後に,同町内での開業も期待されている模様.
その職務内容は,他自治体における同職就任者の業務内容への観察からは,「自治体においてもっとも機能しているのは,日常の行政相談の領域」*4とも観察されている.同町では,「住民向け法律相談及び支援」「児童虐待,DV等事案に対する法的相談及び支援」「滞納整理.債権管理の推進,助言」「条例,規則等の制定・改正に係る法制支援」「行政不服審査行政訴訟への対応」「職員のコンプライアンス(法令順守)向上に関する事務」*5と広範でもある.同章への募集状況は,要確認.

*1:富谷町HP(トピックス平成25年度採用 富谷町特定任期付職員(弁護士)募集!))「平成25年度 採用富谷町特定任期付職員(弁護士)採用試験 受験案内

*2:前掲注1・富谷町(平成25年度 採用富谷町特定任期付職員(弁護士)採用試験 受験案内)2頁

*3:前掲注1・富谷町(平成25年度 採用富谷町特定任期付職員(弁護士)採用試験 受験案内)1頁

*4:柴田直子「第12章 政策法務と条例」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)251頁

地方自治論入門

地方自治論入門

*5:前掲注1・富谷町(平成25年度 採用富谷町特定任期付職員(弁護士)採用試験 受験案内)1頁