市は新年度から、「地域支え合い推進条例(仮称)」の制定に向けた議論に着手する。 公的制度でカバーできないさまざまな生活課題を、地域ぐるみで解決する仕組みづくりを 推進する。条例では、支援活動に必要な個人情報の提供などに関するルールも取り決める 。市によると同様の条例は全国的にも珍しく、制定されれば県内初で、地域の「絆」を強化し、互いに助け合うコミュニティー形成を目指す。
 8日、市役所で開かれた市地域福祉計画策定委員会で市側が方針を示した。条例では、要援護者への円滑な支援を図るために必要な個人情報を、行政から民生委員や地域団体などへ提供したり、地域で共有したりする方法を定める。個人情報を適切に取り扱うため、住民や民生委員・児童委員ら関係者への研修や啓発も行っていく。
 市が昨年7月、民生委員・児童委員を対象に実施した活動実態調査では、住民が個人情報保護法を過度に意識するあまり、必要な個人情報が得られず活動に支障があったり、民生委員が情報開示を求められた際の対応に悩むとする回答が多かった。調査では地域福祉を支える人材の高齢化が進み、担い手不足も浮き彫りとなった。このため市は、学生やNPO団体、企業、元気なシニア世代を新たな担い手として育成、ボランティアとして活躍できる場も創出していく方針だ。除雪やごみ出し、買い物など日常生活の困りごとに対応するため「地域支え合いネットワーク」の構築も目指す。ワンストップで相談に応じる窓口を各地域に設置し、調整役となるコーディネーターを配置する見通しだ。
 8日の会合で市側が提示した「地域福祉計画2013」の素案では、行政との協働によって支え合う地域基盤づくりの施策を進めるとしており、条例制定や人材育成などはいず れも計画に基づく重点的な取り組み。計画期間は新年度から5年間となる。市は今月下旬から2月下旬にかけて、同計画のパブリックコメント(意見募集)を実施 し、今年度末に計画を策定する。

本記事では,金沢市における「地域支え合い推進条例(仮称)」の制定方針を紹介.
2013年1月4日の「金沢市長 年頭記者会見資料」内では,「「金沢市地域福祉計画2013」の具現化に向けて,多様な主体の参画による新たなサポート体制の構築を検討」*1方針が明記.本記事によると,標記条例の制定を通じて「支援活動に必要な個人情報の提供などに関するルール」を整備し,情報面でのサポートを検討される模様.2011年11月23日付の本備忘録でも記録した中野区の「地域支えあい活動の推進に関する条例」*2のような条例となる.本記事内でも報道されている「住民が個人情報保護法を過度に意識」もまた「地域社会の失敗」*3とすれば,同条例がどのように「サポート」をされるのか,要確認.

*1:金沢市HP(ようこそ市長室へ)「平成25年(2013年)金沢市長 年頭記者会見資料」(平成25年1月4日(金)午前10時〜11時 202会議室)2頁

*2:中野区HP(生活・仕事・地域活動・相談区民の地域活動・公益活動地域での支えあい活動)」

*3:礒崎初仁『自治政策法務講義』(第一法規,2012年)134頁

自治体政策法務講義

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