本日は,地方制度調査会の専門小委員会による中間報告.
全体の構成は次の通り.まずは,地制調専門小委員会としての「大都市等をめぐる現状と課題」を整理.その後,二つのパートに分かれている.一つめは「現行制度の見直し」をテーマに,「指定都市制度」「中核市特例市制度」「都区制度」のそれぞれの現状と具体的な方策を整理.もう一つは,「新たな大都市制度」がテーマ.「特別区の他地域への適用」と「特別市(仮称)」,そして「大都市圏域の調整」の3事項を整理されている.
下名の個人的な関心は,「現行制度の見直し」のなかの「指定都市制度」.そのはかなでもやはり「二重行政」への対応策は,興味深く拝読.同中間報告では,「二重行政」には「いわゆる」(3頁)や「これまで言われてきた」(5頁)という表現を用いて,明確な定義をおいてはいませんが,主に「任意事務」で生じるとされる「二重行政」に対しては次の提案されており,なるほどと思いました.

これまで言われてきた「二重行政」を解消するためには,このような事務の移譲及び税財源の配分に加え,指定都市と都道府県が公式に政策を調整する場を設置することが必要である.このため,任意事務を中心に指定都市と都道府県が同種の事務を処理する場合等に適性に連絡調整を行なう協議会を設置し,協議を行うことを制度化し,公の施設の適正配置や効率的・効果的な事務処理を図ることを検討すべきである」(5頁)

でも,政令指定都市道府県との協議会設置は,現在でも2011年11月19日付2012年6月5日付同年7月12日付の本備忘録でも記録した広島市広島県2012年1月7日付同年1月19日付同年2月1日付同年6月24日付の本備忘録でも記録したさいたま市と埼玉県のように「任意」で設置する取組がある.一方で,同中間報告では「制度化」を提案.同中間報告段階では,協議会設置の義務化か努力義務化のいずれであるのかは判然とはしないものの,やはり地制調が「制度化」と述べれば,自治体毎での任意の制度化ではなく,法定化を想定されているのだろうか.各自治体の組織規制面での自由度を含めて,今後の制度化の内容は,要確認.
なお,蛇足,同中間報告では冒頭で「当専門小委員会としては,この中間報告に対する各方面の意見を踏まえ,残された諮問事項である基礎自治体のあり方と併せて最終的な答申に向けて調査審議を続けていく所存である」と,今後の審議予定を記載.あれ,残された諮問事項って「東日本大震災を踏まえた基礎自治体の担うべき役割や行政体制のあり方」*1であったので,震災下での基礎自治体と行政体制がテーマなのかなあ,と理解していましたが,同中間報告での書き振りからは,必ずしも震災には限定されない「基礎自治体のあり方」と幅の広いテーマを設定されている模様.こちらは,政府内の他の審議機関での同種テーマの審議の二重性を回避されたのだろうか(個人的には,少し残念).今後の審議状況は,要確認.