広島市は7月から、市立施設の利用料を免除している65歳以上に通常の半額程度の負担を求める方針を固めた。2012年11月に公表した事務事業見直しの中間報告に盛り込んでいた。市議会で賛否が分かれていたが、市は高齢者人口の増加に伴い応分の負担を求めるのが適当、と見直しを決めた。現在の利用者数から推計すると年間延べ約64万人に影響がある。
 新たに負担を求めるのは、各区のスポーツセンターや原爆資料館(中区)、市安佐動物公園安佐北区)、市現代美術館(南区)など60施設。一般料金のほぼ半額の子ども料金並みにする。周知期間を考慮して開始は7月1日とする。市によると60施設の総利用者数は11年度、延べ約562万7千人。うち65歳以上は11・5%を占めた。施設による偏りは大きく、市映像文化ライブラリーは約7割、各区のプール施設は約3割が65歳以上となっている。12年度の免除総額は2億8600万円を見込む。見直しの理由について市は「高齢者人口は増加しており、応分の負担は必要」と説明する。20政令指定都市で公共施設の利用料を全面的に免除しているのは広島だけという。

本記事では,広島市における市立施設の利用料に関する方針を紹介.
現在,同市HPに掲載されている,「65歳以上」であることで,「利用料減免」がされている「施設」*1は59施設.本記事では,その対象は「60施設」を対象に(あと1施設はどこだろう),減免措置が「半額程度の負担」とする方針を紹介.
本記事内で紹介されており,同方針の元となる「事務・事業の見直し検討状況について(中間報告)」*2によると,1974年に開始された減免措置は,「高齢者,障害者等を対象」に「健康増進や社会参加促進を目的」として「使用料を全額免除」されている.今回の減免措置の見直しの理由は,高齢者は「昭和50年度」の「6%」から「平成22年度」には「20%」となり「大きく増加し」,「市民5人のうち1人が高齢者と世代構成が大きく変化している」こと.そして「高齢者を「支えられる存在」として捉えるだけではなく.社会の活力を「支える存在」としても捉える必要が生じている」との認識に基づく.具体的には「現在」の「小人料金を大人料金の概ね半額に設定していることを考慮し,検討」する案が提示され,「平成24年度減免見込額」を「2億8,600万円」*3と推計されている.また,本記事では,2011年度の「65歳以上」の方の施設利用率は「11.5%」であったことも報道する.
「個別の行政サービスに直接に結びついている」*4受益者負担の考え方からすれば,もちろん応能負担にいう「所得という物差し」*5の考え方もなくはない.同市では,齢という物差しは,半額としつつ持続される模様.今後の利用者の変化は,要確認.

*1:広島市HP(市民生活高齢者・介護手当・年金各種助成助成等)「高齢者の施設利用料減免について

*2:広島市HP(市政全般広島市の概要市の仕事と組織仕事財政局 )「事務・事業の見直し検討状況について(中間報告)【総務関係】平成24年11月(総務局 財政局 市民局)7頁

*3:前掲注2・広島市(事務・事業の見直し検討状況について(中間報告)【総務関係】)7頁

*4:中井英雄, 齋藤愼, 堀場勇夫, 戸谷裕之『新しい地方財政論』(有斐閣,2010年)21頁

新しい地方財政論 (有斐閣アルマ)

新しい地方財政論 (有斐閣アルマ)

*5:武智秀之『政策学講義―決定の合理性』(中央大学出版部,2013年)69頁

政策学講義―決定の合理性

政策学講義―決定の合理性