政府や被災自治体に復興の推進策を提案する復興推進委員会は6日、今年度の報告書をまとめた。他の自治体の優良事例を参考にするといった自治体間の連携強化を提言した。人手不足を解消するため、自治体職員に複数の技能を習得させることも求めた。
 報告書は「(国の)手厚い施策を十分理解していない自治体も多い」と指摘した。政策を熟知した自治体の取り組みと成果を共有することで、復興を加速させられるとした。国には政策を分かりやすく情報発信することを求めた。避難生活が長引くなかで「保健、医療、介護などを一体的に提供する地域包括ケアが必要だ」とも指摘。必要な機能を備えた複合的な災害公営住宅の整備を提案した。産業の復興では、再生可能エネルギーバイオマス発電といった新産業の創出が重要だと明記した。国立国会図書館が担う東日本大震災の記録(アーカイブ)づくりを進めるため、各省庁や自治体に安易に資料を破棄しないことも求めた。

本記事では,復興庁に設置された復興推進委員会が取りまとめた報告書を紹介.2013年2月6日に開催された第7回の同委員会への提出資料「復興推進委員会 平成24年度審議報告 (案) 」*1を参照.
同報告書では,「復興を 進める上では,自治体間の情報共有を進め,他が行っている優良事例を積極的に取り入れることが重要」との課題を示し,「被災地自治体間の課題と対応策を共有する会議など」で「具体的な課題に沿ってきめ細かく議題設定を行」うこと,「職員が自分の担当分野以外も含め幅広く研修等を受ける試みが重要」と述べる.そして,「事例の共有」には「専門や関心の異なる関係者(市民,支援者,企業・事業者,大学・専門家,行政職員など)が定期的に意見交換を行うなかで,専門家の能力を高めていくことも有効である」*2ともする.そのためだろうか,同回の同会では,22の事例を紹介する「復興に向けた取組事例」*3と題する資料も提出されている.
自治体単位の主体的な動き」*4の「政策移転」*5を促す取組.受容状況は,要経過観察.
なお蛇足.2013年2月6日付の時事通信による配信記事では,同報告書を「最終報告書」*6とも報道.あくまで2012年9月に公表された「中間報告書」*7に呼応した名称なのだろうか,それとも委員会としての「最終」の報告書という意味なのだろうか,要確認.

*1:復興庁HP(復興に向けた取組復興推進会議・復興推進委員会復興推進委員会復興推進委員会(第7回)[平成25年2月6日])「復興推進委員会 平成24年度審議報告 (案) 」(平成25年2月,復興推進委員会)

*2:前掲注3・復興庁(復興推進委員会 平成24年度審議報告 (案))12頁

*3:復興庁HP(復興に向けた取組復興推進会議・復興推進委員会復興推進委員会復興推進委員会(第7回)[平成25年2月6日])「復興に向けた取組事例 」(平成25年2月)

*4:山下祐介『東北発の震災論 周辺から広域システムを考える』(筑摩書房,2012年)96頁

*5:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),254頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

*6:時事通信(2013年2月6日付)「先進事例、自治体間で共有を=復興委が最終報告書

*7:復興庁HP(復興に向けた取組復興推進会議・復興推進委員会復興推進委員会復興推進委員会 平成24年度中間報告[平成24年9月])「復興推進委員会 平成24年度中間報告 」(平成25年9月,復興推進委員会)