本日は,同書.
失業,疾病,老齢,障害等による生活の持続困難,児童虐待ドメスティック・バイオレンス,メンタルな介護,不登校アディクション,孤立等と「守備範囲は広く,対象や目的によってさまざまなレベルと方法」(38頁)から「人の人生に関与する仕事」(30頁)を担うソーシャルワーカーの仕事を描く本書.今週の高知滞在中に宿泊先と大学の路面電車の往還のなかで各章を読み進め,同職の「真っ暗闇の中にも光を,絶望の中に希望を,身見いだす作業」(176頁)を垣間みた思いになりました.
個人的には,公務員であり専門家でもあり,そしてまた,専門家でもあり公務員であるソーシャルワーカーが「社会の極めつけの矛盾と遭遇」(145頁)しながら,対面する人と制度との狭間で判断していく姿勢を記した次の部分には,なるほどと思いました.

ソーシャルワーカーの腕,つまり判断や分析,行動が悪ければその人の人生は狂います.人の人生はさまざまで,時には法の想定していることを超えて,多様な矛盾が起こります.専門的な職業を通じてその矛盾に直面することになるわけですから,最終的にその矛盾に直面するかどうかは,ソーシャルワーカーである個人が自分の職業的専門性をどう考えるかに委ねられます.つまり,法がその行為を許していないからという理由で,矛盾を避けることもできるし,避けたからといって責められることではありません.公務員としての立場に立って判断することにも正当な理由があります.また,専門家の立場に立って判断することにも正当な理由があると考えます.」(143-144頁)