• 植田昌也「第三〇次地方制度調査会「大都市制度についての専門小委員会中間報告」について」『地方自治』No.783,2013年2月号,13〜51頁.

地方自治 2013年 02月号 [雑誌]

地方自治 2013年 02月号 [雑誌]

本日は,『地方自治』2013年2月号に掲載された同報告.2013年1月13日付の本備忘録でも手に取った,地方制度調査会専門小委員会の『中間報告』の「審議経過及び内容について紹介」(49頁)する同報告.中間報告への逐条解説としても性格ももち,同報告を読み深めるうえでは有益な内容が豊富に論述されています.
中核市特例市の統合案とともに,同報告では中核市特例市の「住民自治の拡充は重要な視点」とも明記.あわせて,市議会議員の選挙区は,指定都市の例を引きつつ,「特に条例で選挙区を設けない限り市域全体とされている.より地域に密着し,住民との結び付きの深い市議会議員を選出する観点から,選挙区を設けるべきかどうかについて,引き続き検討する」として,加えて,「その際には,選挙区の設定方法をどのように考えるかといった視点が必要」とも述べている.「どのように考えるか」という意味合いが判然とはしないなあと思っていましたが,本報告の次の解説を読み,なるほどと思いました.

中核市では,市議会議員の定数が三〇(函館市)から五〇(船橋市等)に上るが,平成二四年一〇月現在で公職選挙法第一五条第六項に基づき選挙区を設けている中核市高崎市及び富山市のみであり,いずれも合併後の暫定的な制度であり次回一般選挙からは選挙区を廃止する予定としているという状況を踏まえた議論である.ただし,地域により密着した市議会議員の選出が重要という考え方がある一方で,市議会議員が市域全体の代表であるという性格を重視すべきという議論や,選挙区の設定する場合にはいわゆるゲリマンダーの懸念をどのように考えるかといった視点も示されたところである」(35頁)