500億円超の負債を抱える旧県林業公社(現ふくい農林水産支援センター林業部門)について福井県は、2014年春にも旧公社を廃止し、県営化する方針を固めたことが25日分かった。民有地に植林して将来の伐採時に収益を土地所有者と分け合う「分収造林事業」を現状のまま継続するのは困難と判断。県は旧公社への貸付債権約300億円の大半を放棄するなど債務を処理し、県営化して抜本的に事業を見直す。
 県は旧公社の経営見直しに向け、有識者らによる検討委員会を設置して議論を重ねており、近く提言を受けた上で最終判断するとみられる。県営化するには、分収造林事業の契約をしている4千人を超える土地所有者らの同意が必要となる。県営化後も所有者の地位に実質的な変更はなく、県は分収林の管理、伐採なども事業を効率化した上で継続していく方針。旧公社は1966年に設立し、国の造林政策に基づき分収造林事業を行ってきた。管理面積は県内人工林の13%となる約1万4800ヘクタール。分収林が育つ将来の伐採収益をあてに植林や保育費用を借入金、補助金で賄ってきたため、約40年間で多額の債務が発生。木材価格も低迷し、債務の完済は厳しい状況だ。11年度末時点での旧公社の債務総額は約502億円。内訳は県の貸し付けが333億円、日本政策金融公庫117億円、民間金融機関52億円。県からは毎年度10億円程度を無利子で借り入れ、同公庫と民間への返済に充当。毎年、利息分2〜3億円の負債が膨らんでいる。県営化により、県は同公庫と民間の債務を引き受けて返済を継続。一方、県の貸付債権333億円は、旧公社から分収林の立木資産で代物弁済を受けた上で、残りの大部分は債権放棄する形になる。
 福井県だけでなく、全国の林業公社を持つ都道府県では事業が実質的に破たん。国の推し進めた分収造林事業には制度の枠組み自体に問題があったほか、木材の輸入自由化による価格の下落などで事業の採算性が著しく悪化したためで、各自治体とも「民事再生手続きで公社廃止・県営化」(青森県)、「経営改革後に県営化」(山梨県)などの方策を講じている。

本記事では,福井県における「旧県林業公社」に関する業務への経営方針を紹介.
本記事内でも紹介されているように,同県では,2010年9月に「社団法人ふくい農林水産支援センター(旧林業公社)のあり方検討委員会」*1を設置.これまでに同委員会を7回開催.最期に開催された第7回委員会の配布資料3「他県林業公社における経営見直しの主な動向」*2によると,他県の既存の選択では3パタンがあることが分かる.
一つめは,事業廃止・公社廃止型であり,群馬県.二つめは事業継続・公社廃止(県営化)型となり,神奈川県,青森県山梨県岩手県大分県茨城県,栃木県,三つめは事業継続・公社継続型の滋賀県岡山県,石川県,宮崎県,徳島県高知県となる.ただし,後者2パタンは更に細分化されており,例えば,事業継続・公社廃止(県営化)型では,県営化した後に「任意整理手続」を図る神奈川県や青森県,またはまずは「分収見直し等改革取組後に県営化」を図る山梨県と分かれる.事業継続・公社継続型では「特定調停後に分収見直し等経営改善」を図る滋賀県,「分収見直し等経営改善の中で公的支援」を図る岡山県と分かれている.
そのため,事業も組織のいずれも「政策終了」*3という選択する県は同表に基づく限りでは限定的.本記事によると同県は,3つのパタンのうち,事業継続・公社廃止(県営化)型とした後に,「債務を処理」する模様.詳細は,今後の同委員会による報告書の公表後,要確認.