福井県は27日の県会本会議で、水源となる森林の売買に事前の届け出を義務付ける県水源涵養(かんよう)地域保全条例案を提案した。全国の都道府県で初めて違反者への罰則規定を盛り込んでいる。可決されれば4月1日に施行する。
 国内各地で外国資本による森林の買収が相次ぐ中、売買取引を監視して地下水保全や乱開発の防止につなげるのが狙い。ダム上流域などの森林所有者に対し、契約の30日前までに売却先や利用目的などを知事に届け出るよう義務付ける。県は所有者と売却先に、森林法が定める伐採届け出や開発許可申請を順守するよう周知。条例案では、森林法の対象外となる1ヘクタール以下の開発についても届け出を求める。違反者は氏名を公表し、事前届け出を怠った場合は3万円、1ヘクタール以下の無断開発には5万円の過料を科す。県によると、罰則付きの同様の条例は岐阜、石川、富山、山形の各県も制定を検討している。4月1日の施行後、条例対象となる森林区域を指定。事前届け出の義務化は周知期間を経て10月1日から適用する。

本記事では,福井県における水源涵養地域保全条例案を紹介.
2013年1月7日(月)から1月20日(日)までの間でパブコメを実施されていた「(仮称)福井県水源涵養地域保全条例(案)」.同パブコメ時点での条例案を確認すると,まず「第三章 雑則」に「25 違反者の公表」として「知事は,この条例の規定に違反した者や命令に従わない者について,その旨を公表することができます」とされており,次いで,「第四章 罰則」を置き,「27罰則」では「この条例の規定に違反した者や命令に従わない者については,過料を科すこととします」*1と規定されている.
パブコメを通じて集まった18件の意見のうち罰則に関しては,3件の意見が集まる.具体的には,過料の金額を明記すべきであるという意見,公表を努力義務ではなく義務とすべきであるという意見,過料の金額を高く設定すべきであるという意見*2となる.パブコメ時では明記されてはいなかった罰則は,本記事によると「事前届け出を怠った場合は3万円,1ヘクタール以下の無断開発には5万円の過料」と規定された模様.これらにより「土地取引の「見える化」」*3ともなる同条項の整備.条例制定後の「売買取引を監視」体制の整備状況もまた,要確認.