条例改正に伴い退職金が引き下げられる前に退職する「駆け込み退職者」は、2012年度中に全国の自治体で予定者を含め1880人に上ることが5日、総務省の調べで分かった。退職者が出る自治体は、臨時職員を採用するなどの対応策をとっている。
 調査は1月25日から3月1日にかけて、全国の都道府県と市区町村の計1789団体を対象に実施した。1880人の内訳は、教職員などが949人、警察官などが567人、一般行政職員などが364人となっている。 
 都道府県別にみると、愛知県が510人で最も多く、以下京都府の466人、兵庫県の341人が続いている。3月1日時点で退職手当を引き下げるために条例を既に改正している自治体は、全体の約30%に当たる544団体。改正を予定している自治体も含むと全体の85%に当たる1521団体に上る。残り268団体は、対応を調整中としている。

本記事では,総務省における「退職手当法等の改正に伴う地方公共団体における条例改正等の状況」に関する調査結果を紹介.同調査に関しては,同省HPを参照*1
同調査は,2013年1月25日から同年3月1日まで,1,789自治体を確認.条例を改正済の自治体は544,「2月又は3月議会等の条例提出予定」は977となり,あわせて1,521自治体,85.0%が改正及び提案予定となる.内訳は,都道府県では,改正済が24,提出予定が23となり,全ての都道府県が対応を取る.政令指定都市では,改正済が1,提出予定は12と,13市は対応するものの,7市は未定という.市区町村では,改正済は519,提出予定が942とあわせて1,521自治体,84.8%が改正及び提案予定.残る261市町村は未定とある.
また,同調査では,本記事でも報道されているように,「平成24年度中施行団体に占める定年退職予定者及び施行日前退職(見込み)者数」も調査.対象は,84の年度内試行自治体.84自治体では「平成24年度定年退職予定者」が25,165名となり,そのうち「施行目前退職(見込み)者数」は1,880名となる.「部門別内訳」は,一般行政職が5,109名中286名,教育部門が14,197名中949名,警察部門が4,026名中567名,消防部門は725名中5名,公営企業等会計部門は1,108名中73名となる*2.割合から見ると,警察部門が約14.0%と最も高く,次いで教育部門の約6.7%,一般行政職の約5.9%と続く.
本記事でも報道されている都道府県別の「施行目前退職(見込み)者数」は,24都府県を対象に見てみると,愛知県が最も多く510名,次いで京都府の466名,兵庫県の341名,埼玉県の153名,高知県の82名,千葉県の78名,佐賀県の52名,福井県の22名,茨城県の15名,富山県の10名(一部未定),沖縄県の8名,福岡県の4名,熊本県の1名,愛媛県の1名(一部未定)と続く.一方で,「施行目前退職(見込み)者」が0名であった都県もある(栃木県,群馬県,東京都,山梨県滋賀県大分県).なお,静岡県は「未定」*3と回答されている.
2番目に多い京都府では,2013年3月4日付の京都新聞によると「知事部局職員76人」に関しては「当初,退職に伴う欠員を職場内でカバーする」予定であったものの,「国の大型補正の影響で事業量の増加が見込まれ、「ベテランの力がいる」」との判断から「9割以上の71人が3月から1カ月間再任用」となり,「現役時代の7割程度の給与」*4を給付されている.なるほど,大部屋での「相互に協力・応援・支援」が難しい場合には,頼らざるを得ないのは,一足先に大部屋を出て行く「先輩」*5とならざるを得なかったのだろう.なお,内訳では「59人をフルタイム,12人を短時間勤務」.結果,「再任用で発生する人件費は1800万円程度」となり,「再任用された早期退職者と定年退職者との給与と退職金の支給差」が「120万円程度」*6となる.他の「施行目前退職(見込み)者」がある13県の状況も要確認.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2013年3月地方公共団体における退職手当条例改正等の状況)「地方公共団体における退職手当条例改正等の状況」(平成25年3月5日)

*2:前掲注1・総務省地方公共団体における退職手当条例改正等の状況)1頁

*3:前掲注1・総務省地方公共団体における退職手当条例改正等の状況)1頁

*4:京都新聞(2013年3月4日付)「京都府、9割超を再任用 駆け込み退職 76人カバーできず…

*5:松井望「第9章 組織・権限と機構管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)189頁

地方自治論入門

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*6:前掲注4.京都新聞(2013年3月4日付)