綾瀬市が学校開放時の体育館利用などの有料化を盛り込んだ条例改正案を一部訂正し、有料化を撤回する方針を固めたことが6日、分かった。2月27日の市議会本会議に提案していたが、市議から「子どもから利用料金を取るのか」などと批判が相次ぎ、撤回せざるを得なくなったという。同市では提案後の議案訂正は異例。
 市スポーツ課によると、議案は「市民スポーツセンター等のスポーツ施設に関する条例」の一部改正案。昨年秋に策定された受益者負担の指針に沿って、現在、学校開放時は無料で使用できる市内15小中学校の体育館やグラウンド、プールなどを1時間当たり100円から250円で有料化。さらに市民スポーツセンターやテニスコートの利用料金などを値上げ、あるいは有料化する計画だった。
 10月1日から実施予定で、市内の小中学生の利用は料金を半額にするという規定も設けたものの、市議から反対意見が相次ぎ、急きょ議案から学校部分を削除した。市民スポーツセンターやテニスコートなどの値上げ、有料化は残した。学校施設の有料化で年間400万円ほどの増収を見込んでいた。当初、休会日だった今月8日に訂正した議案を再提案する。同課は学校施設の有料化方針の今後については「対応を検討したい」と述べるにとどめた。

本記事では,綾瀬市における公の施設利用料に関する条例改正案の撤回方針を紹介.
同市では,2012年10月に「綾瀬市受益者負担適正化に関する指針」*1を策定.「施設運営に要する費用」を構成する「維持管理・貸出に要する費用(ランニングコスト)」,「事業等の費用」,「設置の費用(イニシャルコスト)」かのうち,「受益者負担の算定根拠となる経費の範囲」は,一つめの「維持管理・貸出に要する費用(ランニングコスト)」を対象」とする.ランニングコストの内訳は「人件費,賃金,消耗品費,光熱水費,維持管理修繕料,通信費,手数料,保険料,委託料(指定管理委託料含む),賃借・使用料,備品費など」*2となる.そして、算出方法は,「専用利用」の場合の「受益者負担額」は「 算定基礎額×面積比率(貸出施設面積÷貸出総面積)÷年間利用時間(年間利用可能時間×稼働率)×負担割合」,「個人利用」の場合の「受益者負担額」は「算定基礎額÷年間使用者数×負担割合」*3とされる.
また,「減額・免除」の基準も統一.「団体等の利用」の場合には,「免除」は「市(行政委員会、市が設置する附属機関等を含む)が主催するとき」と「施設の管理運営団体(指定管理者を含む)が施設の設置目的で利用するとき」,「市立小学校,中学校及び保育園が教育・保育活動で利用するとき」となる.「50%減額」は「市内の高等学校(高等専門学校を含む),私立保育園、幼稚園が教育・保育活動で利用するとき」,「 半数以上が市内に在住する身体障害者等の障害者・児で構成する団体が利用するとき」,「半数以上が市内に在住する中学生以下で構成する団体が利用するとき」,「社会福祉関係団体,地域コミュニティ団体,社会教育関係団体,教育関係団体その他公共・公益的団体がその設立目的のための活動で利用するとき(営利目的で利用する場合を除く.)」とさている.「個人利用」では免除はなく,「50%減額」となり「身体障害者等の障害者・児(介助者1名を含む)が利用するとき」*4とある.
本記事による,これらの受益者負担を踏まえた,当初議会に提出された条例案を撤回し,「議案から学校部分を削除」したうえで再提案する予定という.「共同でつかうものだから,なるべく平等に負担しよう」とする「応益負担」*5の考え方でも,利用する施設では応能負担が相応しいということなのだろうか.なるほど.

*1:綾瀬市HP()「綾瀬市受益者負担適正化に関する指針」(綾瀬市平成24年10月)

*2:前掲注1・綾瀬市綾瀬市受益者負担適正化に関する指針)8頁

*3:前掲注1・綾瀬市綾瀬市受益者負担適正化に関する指針)8頁

*4:前掲注1・綾瀬市綾瀬市受益者負担適正化に関する指針)12頁

*5:砂原庸介「第2章 選挙と代表」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)34頁

地方自治論入門

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