戦後日本の国家保守主義――内務・自治官僚の軌跡

戦後日本の国家保守主義――内務・自治官僚の軌跡

本日は,同書.
同書では「内務省とその後継官庁の本流たる自治省」(穟頁)において,同省に所属する職員の国・自治体間での出向のキャリパスに関する既存研究は比較的蓄積されているなかで,両省からの主に退職後の「キャリアパス」(穜頁)を分析.官僚機構内の配置,国・自治体それぞれの政治家(首長を含む)への転身,そして,「名誉職的な無給ポストも含めて調査」され「国家のあいまいな輪郭に位置するところの準国家機関」(穟頁)対象に焦点をあてて研究された点が特徴的.
特に,同書が定義する「準国家機関」を扱う第3章のなかで,日本善行会がもつ表彰制度の補完性に関する次の指摘は,政府が人を表彰という行為での分担・補完関係とその制度を考える機会にもなり,なるほどと思いました.

善行会が善行表彰の推薦を依頼しているのは,知事・市区町村長,管区警察局・県警察本部長,都庁各局,警察庁消防庁等主に政府機関であり,実際には国家の栄典制度が直接対象としない,より「底辺」に近い人びとの顕彰を下請けしているというのが実態に近いのではなないか」(76頁)