図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦

図書館が街を創る。 「武雄市図書館」という挑戦

本日は,2012年5月5日付同年8月15日付2013年4月1日付の各本備忘録でも記録した,武雄市の市立図書館への指定管理者制度の取組をまとめられた同書.
本書では,1日12時間開館年中無休という開館時間の変更や,その多くの蔵書の開架化,カフェの設置,蔦屋書店の併設による雑誌販売と映画や音楽のレンタルスペース,分類方法の日本十進分類法から22進の分類法の採用,ポイント制度といった同市の図書館での試みを紹介.確かに,例えば「全国誰にでも発行してもらえる」(34頁)同館の「利用カード」を「作るために武雄市まで旅行し,「武雄市図書館に」立ち寄」(35頁)りたくなってきます.
ただ,これらの取組を読むと,では「代官山蔦屋」を誘致すればよかったのでは,という疑問を示す向きもいるかもしれません.しかし,本書が紹介する高遠町(長野県),只見町(福島県),川西町(山形県),南牧村群馬県),そして,ヘイ・オン・ワイと「本による町興し」(66頁)の事例からも,誘致ではなく公共の図書館とが「融合」(37頁)することで,新たな施設を建てるのではなく既存の公立図書館という空間の可能性を感じることできました.同市図書館をサポートされているボランティアグループのお一人の方からの次の指摘には,なるほどと思いました.

公共図書館とは,ただ本を貸し出す機能があればいいというものではなく,市民が集う場となる必要があると思いますし,そこからボランティア活動などの市民の運動が発生していくのだと思います」(52頁)