京都府は本年度の上級(大卒程度)職員採用試験で、土木職と行政職について、来春を待たず今年10月に採用する枠を設けた。定期の採用試験における秋採用は土木職は初めてで、行政職では35年ぶり。公共事業の大幅増加による職員確保や留学などで卒業時期がずれる受験生への対応が理由という。
 新たな採用枠を設けたのは、公共事業の計画や管理を担う「土木」と26歳までが対象の「行政〓」で、それぞれ5人程度を予定。国の緊急経済対策に対応した府の本年度予算は、前年度補正予算も加えた実質の公共事業関連費が前年度当初に比べ33%増と大幅に増えた。昨夏の府南部豪雨の災害復旧もあり、工事の発注や管理の業務が増加している。
 このため、土木の技術職を10月に先行して採用し、行政〓も在学中の留学やNPO活動で卒業が秋になる学生が受けやすくするため、新たな採用枠を設けた。府によると、都道府県で10月採用枠を設けるのは珍しく、府人事委員会は「経験を積んだ多様な人材を積極的に採用していく」としている。

本記事では,京都府における職員採用の取組を紹介.
採用区分の「行政」と「土木」において「10月採用」*1を開始する同府.2009年5月17日付同年7月26日付同年11月24日付2010年3月24日付2011年1月31日付の各本備忘録でも記録している,試験日程の「早期化」*2の流れに加えて,2010年11月10日付の各本備忘録でも言及した「分散化」という「独自の日程」*3の取組の一つ.興味深い
採用試験機会の選択制のみならず,試験内容もまた選択制を採用.具体的には,行政区分の採用試験科目では「専門試験に行政・法律・経済の選択科目制を導入」する.同府では2012年度までの「憲法行政法民法,経済学,財政学,行政学政治学,刑法,労働法,経済政策,社会政策,経営学,国際関係」の「50題出題40題解答」する方式を採用.これを2013年度からは,同方式とともに「憲法行政法民法,刑法,労働法,経済学」から出題される「40題」を「必須解答」とする「法律」,そして,「経済原論,財政学,経済史,統計学,経済事情,経済政策,憲法及び民法」から出題される同じく「40題」を「必須解答」となる「経済」の2つの細区分を設け,いずれかの区分を選択することができる.同取組は,同細区分を選択すれば「従来のような幅広い試験対策が不要」にもなるものであるという(あ,行政学(は兎も角)や政治学を勉強した方の細区分はないのですね).同区分への応募状況は,要確認.

*1:京都府HP(府政情報府政運営・行財政改革採用情報・試験案内)「試験情報(上級試験)

*2:福島貴希「都市自治体における職員採用」村松岐夫・稲継裕昭・財団法人日本都市センター編著『分権改革は都市行政機構を変えたか』(第一法規,2009年)155頁

分権改革は都市行政機構を変えたか

分権改革は都市行政機構を変えたか

*3:出雲明子「第8章 地方公務員制度と人事管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)161頁

地方自治論入門

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