自治体職員のための文書起案ハンドブック

自治体職員のための文書起案ハンドブック

本日は,同書.
先頃発刊されました,金井利之編著『シリーズ 自治体政策法務講座 第4巻組織・人材育成 (シリーズ自治体政策法務講座)』(ぎょうせい,2013年)のなかの一つの章で,金井利之先生と一緒に,自治体の活動に関わる手続を,統制手続と行動手続とに分類をしてみました.従来の手続論は主に前者に重きが置かれがちでした.今回は,後者の手続のロジックのパタン化や分析に力点を置くことで,自治体行政内での手続の考え方を少し広げることを試みています.
ただし,行動手続は,「自治体行政内規」*1で規定されている部分は見えますが,実際の運用は見えにくい部分が多くあります.そこで,今年度からしばらくの間は,同書からの積み残しもあり,組織内での(広義での)委任と監督に関する制度とその運用を観察し分析する予定にあります.
その関心から手に取った同書.「決裁」の視点から自治体内の意思決定,行政活動を解説されています.勉強になります.特に,上記の関心からは,決裁権者の確認を促す次の指摘は,可変的な制度と安定的な運用との距離を感じ,なるほどと思いました.

どちらにせよ,どのような事案について決裁を受けるのかは事務委任規則や決裁規程に定められていますので,漫然と前例に倣って決裁を受けるのではなく,その都度決裁権者を確認することが必要です.というのも,事務委任規則や決裁規程は結構な頻度で改正が行なわれているからです」(161頁)

*1:兼子仁『変革期の地方自治法』(岩波書店,2012年)90頁

変革期の地方自治法 (岩波新書)

変革期の地方自治法 (岩波新書)