国内で使われるパソコンの約三分の一に搭載されている基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」のサポート期間が、来年四月九日に終わるのを受け、県内の自治体や企業は対応を迫られている。サポート期間終了後は、安全面の欠陥が見つかっても修正ソフトが提供されず、ウイルス感染の危険性が高まるとされるが、多額の費用に頭を痛めている自治体もあるようだ。
 県によると、庁内で職員が使うパソコン約四千百台のうち、約三千五百台にXPを搭載。二〇一三年度中に約二千百台を後継OSに当たるウィンドウズ7搭載のパソコンに買い替え、残りはOSだけをウィンドウズ7に変更する。費用は二億円と試算。担当者は「安全面に問題があると言われると対応せざるを得ない」と話す。

 パソコンのリース契約の更新に合わせ、ウィンドウズ7搭載機に替える市町もある。福井市は一二年度中に八百二十台を入れ替え。一三、一四年度中に残る千百八十台を更新する。大野市美浜町なども同様の対応だ。勝山市は、一部のパソコンで来年八月までリース契約が残るが、前倒しして来年六月に更新する予定。一方、越前市は庁内ネットワークと外部の通信を閉ざしているため、サポート期間中は静観。リース期限が切れる一四年度に入れ替える。地道にOSを入れ替えるのは敦賀市。市情報管理課の職員二人が今年四月から、一日当たり十台のペースで、XPからウィンドウズ7に更新している。一年がかりで八割を終えるといい「できるだけ職員が対応し、経費を抑えたい」と担当者。しかし技師の図面作成用ソフトなど、市特注ソフトをウィンドウズ7用に作り替える必要があり、十二月補正予算で対応する。小浜市は既に更新を終了。後継OSの発売に応じて、入れ替えを進めてきたという。
 民間企業はどうか。千七百台のうちXPが八割の福井銀行福井市)は、顧客や社内の情報を扱うネットワークを外部と遮断しており、保守期限が切れても支障ないという。例年のパソコン更新に合わせて対応する。江守商事(同市)では、三百台のうち百八十台がXP。ネット閲覧用など、ウイルス感染の危険性が高いものから入れ替えている。(取材班)                

本記事では,福井県に位置する市町及び同県におけるOSへの対応状況を紹介.
「2014年4月8日」で「終了」するWindowsXPへの「サポート」*1.同紙が整理された福井県に位置する市町及び同県での搭載台数と対応状況の一覧によると,同県の搭載台数は3500台と最も多く,次いで,福井市(1180台),敦賀市(1170台)となる.その他の市町でも200台程度の搭載機が残置しており,唯一,小浜市が「すでに更新が終わ」り0台となる.1県5市3町(福井県福井市敦賀市大野市鯖江市,あわら市南越前町美浜町若狭町)では2013年度内でのOSの更新又は入替えの方針であることが分かる.
一方で,「2014年度6月まで」と1年を掛けての更新する勝山市,「リース期限が切れる2014年度に入れ替え」方針の越前市や「2014年度に端末を入れ替え」るおおい町やと,サポート期間終了後も一定期間は継続利用する市町もある.また,「効率的な方法を検討中」という池田町,「更新を検討中」とする越前町,「12月補正予算までに決める」高浜町と対応が確定されていない町,更には永平寺町では「一部を除き入れ替える」とあり,WindowsXPを一部残置される模様(なぜだろう).
「社会資本の老朽化」への「反応」*2と同様に,一時期に一度に導入したOSは同じ時期に老朽化(陳腐化)となり,更新費用も「「経路依存」によって存続」*3して発生することが分かる,たいへん興味深い記事.他の自治体の対応は要確認.

*1:Microsoft HP(サポート製品一覧Windows XP)「Windows の一部のバージョンのサポートは終了しました

*2:根本祐二『朽ちるインフラ』(日本経済新聞社,2011年)58頁

朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機

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*3:桑原英明「歴史的新制度論」大山耕輔監修『公共政策の歴史と理論』(ミネルヴァ書房,2013年)228頁

公共政策の歴史と理論

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