地方自治体が管理する道路橋で老朽化や災害により補修が必要なのは全国に6万8800カ所あり、4月時点でこのうち85%に当たる5万8758カ所で補修が終わっていないことが2日、分かった。未補修の橋は昨年の89%から4ポイント減ったが、財政難や技術職員不足により依然として対応が遅れている現状が浮き彫りになった。
 長さ15メートル以上の橋約14万4千カ所について、自治体の点検や修繕計画に基づく補修状況を国土交通省が集計した。補修が必要な橋は、都道府県や政令指定都市の管理分では3万1840カ所で、未補修は74%。市区町村は3万6960カ所で、95%が未補修だった。

本記事では,国土交通省による自治体の「道路橋長寿命化に関する取組状況」調べの結果を紹介.同調査結果は,同省HPを参照*1
同調べのなかでも,本記事では「修繕実施済橋梁数」を中心に紹介.同調べによると,「修繕実施済」の「橋梁数」は,2012年4月現在の「6,476」から,2013年4月現在では「10,042」と「1.6」倍に増加していることをがまず分かる.ただし,自治体が「管理する橋長15m以上の橋梁」で「点検が完了し,長寿命化修繕計画が策定された橋梁のうち,修繕が必要とされた橋梁」と定義された「要修繕橋梁数」は「60,704」から「68,800」と経年とともに増加していることもあり,,結果「修繕実施率」が「15%」*2と,本記事で紹介されているように「85%に当たる5万8758カ所で補修が終わっていない」ことになる.
また,都道府県・政令指定都市・市町村を都道府県単位で合算した自治体別での修繕状況を確認すると,長崎県が40.4%で修繕実施率が最も高率となる.次いで,山形県の38.0%,山梨県の32.5%,大阪府の30.4%,新潟県の27.4%で修繕実施率が進む.一方,修繕実施率が低率とされた自治体を都道府県単位で確認すると,滋賀県が1.7%で最も低率となり,次いで,徳島県が3.5%,その後は,三重県が3.7%,高知県の5.1%,山口県の5.6%の順で修繕実施率*3が高くなり,自治体間での修繕実施状況の差異が分かる.
一方で,修繕実施率が低率であった5県の「点検実施状況」を確認してみると,滋賀県では91.9%,徳島県は99.5%,三重県は97.2%,高知県は93.4%,山口県は98.6%*4とあり,点検実施状況の平均が97%であったことから比べると,3県の実施状況率は平均値よりも高い現状も分かる.従来指摘されてきた「維持管理よりも新設が重視」*5された姿勢から,点検という維持管理への移行はあるものの,修繕には及ば(べ)ない現状が窺えそう.「50年前後の橋齢に到達する橋」*6の割合も分かると興味深そう.こちらは個別自治体の長寿命化修繕計画の内容を要確認.

*1:国土交通省HP(報道・広報報道発表資料道路橋の長寿命化に関する取組状況について〜引き続き地方公共団体が管理する橋梁の予防保全の促進が必要〜)「道路橋の長寿命化に関する取組状況について〜引き続き地方公共団体が管理する橋梁の予防保全の促進が必要〜」(道路局国道・防災課道路局環境安全課,平成25年7月2日)

*2:前掲注1・国土交通省(道路橋の長寿命化に関する取組状況について)2頁

*3:国土交通省HP(報道・広報報道発表資料道路橋の長寿命化に関する取組状況について〜引き続き地方公共団体が管理する橋梁の予防保全の促進が必要〜)「資料2 都道府県別橋梁点検状況及び長寿命化修繕計画策定状況、長寿命化修繕計画に基づく修繕実施状況」3頁

*4:前掲注3・国土交通省(資料2 都道府県別橋梁点検状況及び長寿命化修繕計画策定状況、長寿命化修繕計画に基づく修繕実施状況)1頁

*5:武藤博己『道路行政』(東京大学出版会,2008年)186頁

道路行政 (行政学叢書)

道路行政 (行政学叢書)

*6:根本祐二『朽ちるインフラ』(日本経済新聞社,2011年)46頁

朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機

朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機