和歌山県庁本館(和歌山市松原通)が国の登録有形文化財(建造物)に登録される。国の文化審議会が19日、文部科学大臣に答申した。利用されている都道府県庁舎が登録有形文化財になるのは愛知、静岡、神奈川に次いで4例目となる。
 県庁本館は1938年に建てられた。鉄筋コンクリート造り(一部鉄骨鉄筋コンクリート造り)の4階建て。建築面積は2630平方メートル。今回登録されたのは、同年に完成したE字型の建物部分。昭和30年代に増築された部分は含まれない。2008〜10年度に補強・改修工事を施している。設計は、安田講堂などを設計した元東大学長の内田祥三氏を顧問に、和歌山県技師の増田八郎氏が担当した。増田氏はこれより前に富山県庁舎建設に携わっており、和歌山県が招いた。
 県教委文化遺産課によると、外観や議場、階段室など、完成時の様子を残しており、県を代表する近代洋風建築として価値があるという。仁坂吉伸知事は「このような歴史的建造物を保存し活用していくことは大変有意義なこと。今後も文化遺産の保存と活用に取り組み、魅力的な郷土づくりを進めていきたい」とのコメントを出した。このほか、日高川町寒川の民家「寒川家住宅」も登録有形文化財に答申された。江戸時代末期から昭和前期に建てられた母屋や石垣など7件が登録される。
 登録有形文化財は、文化建造物を保護する制度で、指定文化財に比べて改修などの規制が緩い。建築後50年が経過し、歴史的景観に寄与していることなどが登録の基準となっている。登録が決定すれば県内の登録有形文化財は62カ所、168件になる。

本記事では,和歌山県庁舎本館の登録有形文化財への登録の取組を紹介.「登録有形文化財(建造物)」の「官公庁舎」という区分では,2013年7月1日現在までに180の庁舎*1が登録済.今回の同県庁の答申により,1庁舎が追加となる.
答申に関する同庁の報道資料では,同庁舎の特徴を次のように解説.つまり,「正面に構える主棟の後方に,議場などの建物3 棟を接続するE字形の平面で昭和13 年に建築され」「外壁に釉薬タイルを貼り,壁頂部等をテラコッタで飾」られた同庁舎は「式典などを行う大広間の正庁」と「県議会議場,知事室等も良質な意匠となっている」*2おり,「鉄筋コンクリート造4階建で,タイル貼の外壁に2連アーチ窓を並べる」*3点が特徴と判断する.恐らく,「技術優位の気持ち」*4のもとで建築されたであろう同庁舎.時が経てばそれもまた「美」と評されるのだろうか.興味深い・
なお,同庁舎.2013年6月5日付の本備忘録では「県庁内の一部局」*5と同様に都道府県庁舎内配置されている都道府県が福島県大分県と記録したものの,同県の「フロアマップ」*6を本日確認すると本館1階,2階に県警本部が配置されている.思いのほか,都道府県庁道府県本部の物理的距離が近接しているところが未だあるかもしれない.要確認.

*1:文化庁文化財文化財の紹介有形文化財(建造物))「登録有形文化財(建造物)登録件数

*2:文化庁報道発表資料)「報道資料 登録有形文化財(建造物)の登録について」(平成25年7月19日)4頁

*3:前掲注2・文化庁(報道資料 登録有形文化財(建造物)の登録について)9頁

*4:藤森照信『日本の近代建築(下)』(岩波書店,1993年)125頁

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)

日本の近代建築〈下 大正・昭和篇〉 (岩波新書)

*5:福沢真一「警察行政の形成と展開」大山耕輔監修『公共政策の歴史と理論』(ミネルヴァ書房,2013年)86頁

公共政策の歴史と理論

公共政策の歴史と理論

*6:和歌山県HP(組織から探す県庁 配置図)「本館 フロアマップ