健康的な給食などを通じて体重管理を――。
 厚生労働省文部科学省などと連携し、肥満ややせの人の割合が増えた給食や社食の提供施設に対し、保健所が指導、助言する新制度を2015年度から全国で導入することを決めた。
 学校や企業などが身体データに合わせた栄養管理を行えるようにし、生徒や社員らの健康づくりにつなげる。
 新制度では、給食を出している小中高や保育園、社員食堂などが対象。健康診断の結果から肥満ややせの割合が前年より増えた施設に、報告を受けた保健所の管理栄養士が改善を促す。例えば、カロリーを抑えた献立作りや、栄養バランスのとれた食べ方を書いたプレートの設置を指導する。肥満ややせの指標は、体重や身長から算出する体格指数(BMI)や、身長別標準体重を使って割り出す肥満度などを採用する。肥満とされるBMI25以上の人の割合などを各施設が算出するよう、厚労省は今年秋にも全国に通知する。実情を踏まえ、各施設が職員らへ運動の呼びかけを含めた対策をとったり、都道府県が施策作りに生かしたりすることも期待される。

本記事では,厚生労働省における肥満対策の取組を紹介.
2012年7月に改訂された「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」*1.同方針内でも「社会全体として,個人の健康を支え,守る環境づくりに努めていくことが重要」との問題認識から,「行政機関のみならず,広く国民の健康づくりを支援する企業,民間団体等の積極的な参加協力を得るなど」の「国民が主体的に行う健康づくりの取組を総合的に支援する環境を整備」*2とある.例えば,同方針では「健康づくりに関する活動に取り組み,自発的に情報発信を行う企業登録数の増加」を目指しており,2012年度段階の420社から2024年度には3,000社*3を目標値に置くように,「ポピュレーション戦略」*4を前方針に引き続き規定する.
同方針が定める「栄養・食生活」の目標値の一つに「適正体重を維持している者の増加(肥満(BMI25以上),やせ(BMI18.5未満)の減尐)」がある.具体的には,2010年度段階の「20歳〜60歳代男性の肥満者の割合 31.2%」「40歳〜60歳代女性の肥満者の割合 22.2%」「20歳代女性のやせの者の割合 29.0%」から,「20歳〜60歳代男性の肥満者の割合」は「28%」,「40歳〜60歳代女性の肥満者の割合」は「19%」,「20歳代女性のやせの者の割合」は「20%」*5を目指す.ただ方針であるため,上記方針内では明確な方策は記載されていない.一方,本記事では「給食を出している小中高や保育園,社員食堂などが対象」に「健康診断の結果から肥満ややせの割合が前年より増えた施設」には「報告を受けた保健所の管理栄養士が改善を促す」取組を開始することを紹介(上記の方針に基づく取組なのだろうか.要確認).
新しい食「習慣のルーチン」を起すための改善指導という「きっかけ」*6ともなりそうな同取組.保健所から事業所等への「指導,助言」は,いわばお願いであるとすれば,「行政上の誘導」*7の実効性は一つの課題.そして,そもそも,同省から発出される「通知」も各保健所へのお願いなのだろうか.発出後,同通知の内容は,要確認.

*1:厚生労働省HP(政策について分野別の政策一覧健康・医療 健康健康日本21(第2次))「厚生労働省告示第四百三十号

*2:前掲注1・厚生労働省厚生労働省告示第四百三十号)1頁

*3:前掲注1・厚生労働省厚生労働省告示第四百三十号)11頁

*4:近藤克則『「健康格差社会」を生き抜く』(朝日新聞,2010年)195頁

「健康格差社会」を生き抜く (朝日新書)

「健康格差社会」を生き抜く (朝日新書)

*5:前掲注1・厚生労働省厚生労働省告示第四百三十号)11頁

*6:チャールズ・デュヒッグ『習慣の力』(講談社,2013年)361頁

習慣の力 The Power of Habit

習慣の力 The Power of Habit

*7:中原茂樹「行政上の誘導」磯部力・小早川光郎・芝池義一『行政法の新構想〓』(有斐閣,2008年)203頁

行政法の新構想〈2〉行政作用・行政手続・行政情報法

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