慢性的な人員不足が続いている県の獣医師を確保しようと、県は本年度から初めてインターンシップを事業化した。開業医や民間への就職を希望する獣医学生が多い中で、“公務員獣医師”の仕事を現場で学び、就職につなげることが狙い。19日から5日間の日程で始まり、大学生3人が参加している。

本記事では,高知県における獣医学生へのインターンシップの取組を紹介.
同県では,2013年4月現在「75名」「うち女性19名」の獣医師が勤務.「農林水産部」には49名,「健康政策部」に26名と二つの部に勤務されている*1.同県の獣医師として勤務する獣医学生に対して「獣医師修学資金貸与制度」「初任給調整手当」「募集制限年齢の緩和」を実施.
一つめの就学資金貸与制度は「獣医科系大学で獣医学を専攻している学生」を「対象」に貸与する.ただし,「卒業して獣医師免許を取得した後,高知県職員となることが前提」となり,「最高6年間」で「月額10万円を在学中貸与」する.また,「貸与期間の1.5倍の期間を勤務する」と「貸与された資金の返還が免除」される.二つめの初任給調整手当は「新任の獣医師職員に対し手当として期末・勤勉手当」「以外に」「初任給調整手当が月額30,000円を上限に10年間支給」される.三つめの募集制限年齢の緩和は,「定期採用ではなく選考採用のかたちをとって」いるため「募集も39才まで」*2と設定されている.
学生時の就学資金の支援,採用活動時における「情報の非対対称性の問題を緩和」*3,就任後では一定期間勤務後での就学資金の免除と手当充当,と何れの時期での支援を通じた「資格や免許に裏付けられた知識や技術」*4を有する方の常勤職としての採用促進の取組.いずれも獣医という専門職の採用と持続の難しさが窺えそう.悩ましい.実際に獣医として採用された後,一定期間勤務後での離職率なども分かると興味深い.

*1:高知県HP(組織でさがす農業振興部畜産振興課平成25年度高知県職員(獣医師)を募集します。)「高知県庁で働く獣医師の主な職務内容ーH25年4月1日現在ー

*2:高知県HP(組織でさがす農業振興部中央家畜保健衛生所)「高知県で獣医師として勤務してみませんか。

*3:安藤史江『コア・テキスト 人的資源管理』(新世社,2008年)50頁

コア・テキスト 人的資源管理 (ライブラリ経営学コア・テキスト)

コア・テキスト 人的資源管理 (ライブラリ経営学コア・テキスト)

*4:林奈生子『自治体職員の「専門性」概念』(公人の友社,2013年)6頁

自治体職員の「専門性」概念―可視化による能力開発への展開

自治体職員の「専門性」概念―可視化による能力開発への展開