京王電鉄は28日、東京都多摩市と地域活性化を進める包括連携協定を締結し、専用トラックを活用した食料品・日用品の移動販売を11月に多摩ニュータウンエリアで開始すると発表した。同エリアでは高齢化が進み、近隣商店の不足などで日常の買い物に不便を感じる住民が増えており、移動販売の実施で支援する。
 移動販売専用車(2トン)を独自に開発した。グループ会社の京王ストアが取り扱う生鮮品、日用雑貨など約300品目を販売する。1日4カ所前後を巡回する計画だ。28日、多摩市内で記者会見した京王電鉄の永田正社長は「多摩ニュータウンエリアは当社とともに発展してきた。多摩市と京王グループが手を組んで、地域発展のための取り組みをさらに推進していく」と話した。

本記事では,多摩市における包括連携協定の取組を紹介.
2013年7月31日付の本備忘録の後段でも記録した同取組.同協定に基づき,「食料品・日用品の移動販売」を開始が発表.詳細は,同社の「ニュースリリース」を参照*1
同社の「ニュースリリース」によると目的は次の通り.まず,同取組の問題意識には,「多摩ニュータウンエリアのうち」「特に初期入居地域」では「高齢化が進行してい」ることがあり,これらの地域のなかでは「居住エリアが勾配の急な坂等で囲まれているという地域特性」や「近隣商店の減少など」から「住んでいる地域で日常の買い物をする上で」「不便を感じている方が増加」している,という.そこで,同社が「移動販売を実施すること」で「地域住民」の「買い物利便性を高め」「多世代にとって暮らしやすい街」とすること,さらには「地域コミュニティの活性化」も目的として,同社と同市との間で「地域発展の推進に関する包括連携協定」を「締結」*2された.とある.
同事業は,「経済産業省の「地域自立型買い物弱者対策支援事業」の補助対象」としても実施.具体的には,「2トン車」の「移動販売専用車」が「京王多摩センター駅京王永山駅周辺の多摩ニュータウンエリアを中心とした」「コミュニティセンター,UR都市機構管理地,大学等で1日4か所前後を巡回して販売予定」.販売物品は「肉や魚,野菜などの生鮮品米,パン,お菓子,飲料,惣菜,調味料,日用雑貨等約300品目」*3となる.2013年7月31日付の本備忘録で記録した両社間での棲み分けも,要確認.
なるほど,必ずしも「高齢者向け」*4に限定されない地域特性に応じた同取組.同「ニュースリリース」では「包括連携協定に基づき,地元自治体である多摩市によるサービスの提供を協議中」とも紹介されている.提供されるサービス次第ではあるものの,移動図書館ならぬ移動庁舎とも整理できそうな取組にもなるのだろうか.興味深い.「「発注行政」からの脱却」しながら「目標を持って」どのような「成果」*5をあげるのか,今後の取組状況は要経過観察.

*1:京王電鉄HP(ニュースリリース)「 京王電鉄初の移動販売を多摩ニュータウンで開始します〜多摩ニュータウンを中心としたエリアで日常の買い物をサポート〜

*2:前掲注1・京王電鉄京王電鉄初の移動販売を多摩ニュータウンで開始します〜多摩ニュータウンを中心としたエリアで日常の買い物をサポート〜)

*3:前掲注1・京王電鉄京王電鉄初の移動販売を多摩ニュータウンで開始します〜多摩ニュータウンを中心としたエリアで日常の買い物をサポート〜)

*4:「特集2 2040年全国市町村財政貧乏度ランキング」『週間ダイヤモンド』2013年6月8日号,115頁

*5:山田賢一「官民二元論から官民融合論へ」稲継裕昭編著『自治体行政の領域』(ぎょうせい,2013年)49頁

自治体行政の領域-「官」と「民」の境界線を考える-

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