日曜日の自治体学

日曜日の自治体学

本日は,同書.日曜日なので読んでみました.
本書では,東日本大震災によりあらためて確認された「自治体の重要性」(10頁)の観点から,10のテーマにそった「自治体の仕組み,仕事の内容」(2頁)を講じる.構成は,著者がこれまでに上梓されている『概説 日本の地方自治』や『市民のための自治体学入門 (ちくま学芸文庫)』などの地方自治のテキストと同様に,前半部分は自治制度,後半では自治体政策を扱っている.そのため,両書から地方自治の議論を学んだ場合には,すっきりと本書もまた理解ができる構成にもなっている.また,後半の自治体政策では,福祉,学校教育,環境と基礎自治体の主要な政策とともに,自治体外交を扱われている点は,両書からも引き続く他の地方自治テキストにはない特徴である.
もう一つの特徴は,本書では各テーマ毎内で「国政全体にも自治体の内部にも多数存在」しているという,「市民のための地方政府の構築をはばんでいる条件」(12頁)を,まさに多数の「課題」(2頁)が論じている点にある.しかも,各課題に至る論旨が丁寧な仕組みの説明を加えつつ明快に論じられており,さらには解決への方向性も提案されている.そのため,一般的な体系的なテキストだけでは見えにくい地方自治の姿がよく分かる.複数名で会読をしながら,一つひとつのテーマを議論するには最適な一冊,
本書で提示される多くの課題と解決の方向性の提案は,果たしてどのような視点から,これらの課題が提示されているのだろうと思いながら最後まで読み進めていくと,次の指摘に出会い,なるほどと思いました.

ルールの設定や事業の実施のために,市民にしっかりとコントロールされた自治体という「地方の政府」を必要とします」(224頁)