県は17日、英国・ロンドンにある欧州事務所について、本年度末にも廃止する方針を明らかにした。中小企業のアジア進出支援を強化するため、県が検討を進めている海外駐在員事務所の配置見直しの一環。同日の県議会本会議で、自民党の加藤元弥氏(横浜市西区)の質問に黒岩祐治知事が答えた。
 県の海外事務所は、欧州と北米(米国・メリーランド)、東南アジア(シンガポール)の計3カ所。県によると、欧州事務所は現在、県職員1人が日本貿易振興機構(JETRO=ジェトロ)の嘱託員として駐在している。廃止後は、日本国内で外国企業誘致活動を進めるとともに、英国所在のジェトロや民間金融機関と連携するなどして進出企業を支援する。
 一方、県は中小企業の「アジアシフト」を見据え、東南アジア地域に進出する企業の支援体制を強化する方針。ことし1月に協定を結んだ横浜銀行との連携を踏まえ、タイ・バンコクにある同行の駐在員事務所に県職員の派遣が可能かどうか検討する。中国での支援は、神奈川産業振興センターが大連に設置している事務所への県職員派遣を検討している。また、北米事務所については、「ライフイノベーション国際戦略総合特区の業務推進の役割を期待できる」として当面存続させるという。
 黒岩知事は同日の本会議で、欧州事務所の廃止について「県内中小企業の支援ニーズや県政課題との関連などを総合的に検討した結果、ジェトロと調整に入っている」と述べた。

本記事では,神奈川県における海外事務所の取組を紹介.
「民際交流」*1の空間的な拠点ともなる海外事務所.2010年1月5日付の本備忘録で記録した道府県レベルでの海外事務所の設置状況.同県では,「シンガポール」の「東南アジア事務所」,「ロンドン」の「欧州事務所」,「メリーランド」での「北米事務所」と「海外3地域に海外駐在員を派遣」するとともに,「(公財)神奈川産業振興センター」により「中国・大連に中国経済事務所」*2を設置する.
主な業務は3種類.まずは「外国企業の誘致の促進に関すること」として,「外国企業等が県内でビジネスを始めたり,ビジネス拠点の進出を行う際のサポート」を行なう.次いで,「県内中小企業の海外展開の支援に関すること」.三つめは,「海外経済事情に関する情報収集及び調査に関すること」として,「現地の経済状況等最新の情報を収集」し「ホームページや経済情報誌など」で同「県内企業」に「提供」*3する.三つめの取組は,同県HPでも公表されている*4
本記事によると,欧州事務所の「廃止」と「東南アジア地域に進出する企業の支援体制を強化」の方針にあるという.県内企業の「支援ニーズ」により,今後も民際交流の地域は時期により変化するのだろうか.興味深い.

*1:新藤宗幸『日曜日の自治体学』(東京堂出版,2013年)181頁

日曜日の自治体学

日曜日の自治体学

*2:神奈川県HP(産業・働く事業者支援・活性化産業振興・企業組合)「神奈川県海外事務所等のご案内(神奈川県)

*3:前掲注1・神奈川県(神奈川県海外事務所等のご案内(神奈川県))

*4:神奈川県HP(産業・働く事業者支援・活性化産業振興・企業組合神奈川県海外事務所等のご案内(神奈川県))「神奈川県海外駐在員の活動レポート