臼杵市は10月1日から、ボランティア活動に取り組む市内の65歳以上の高齢者を対象に、現金などと交換できるポイントを付与する制度を始める。中野五郎市長は「長年培った経験を地域で生かしてもらいたい」と話している。
 市によると、9月1日現在の65歳以上の高齢化率は34%で、10年後には40%に達するとみている。このため、お年寄りが積極的に支え合う地域をつくろうと企画した。「お達者長生きボランティア制度」と名付けた活動は、介護施設の食堂内での配膳やシーツ交換、散歩や外出の補助のほか、児童の登下校時の見守りや声かけ、地域で開かれるイベントの会場設営手伝いなど。活動内容を自分で選び、市役所で登録手続きをすれば、手帳が交付される。市は初年度、100人の登録を見込んでいる。1時間程度の活動で100ポイント分(100円相当)のスタンプ1個がもらえる。スタンプは1日に2個までで、5千ポイントを上限に、現金か市内の商店で使える商品券(5500円分)に交換できる。交換時期は年度末を予定している。臼杵市高齢者支援課=0972(63)1111。

本記事では,臼杵市におけるボランティア制度の取組を紹介.同制度に関しては,同市HPを参照*1
同制度は,同市の「介護保険第1号被保険者」となる「満65歳以上」の方を対象に「介護保険適用施設」「障がい者施設」「小・中学校」「幼稚園」「保育所(園)」「自治会」「地域振興協議会など」の「ボランティア活動が正確に管理」が可能となり,同市の「介護保険制度の健全運営に資すると思われ」ると判断されている「ボランティア対象施設」で「ボランティア活動」を行なった場合に「ポイントを付与」し,「年に一度」「ポイント数に応じて換金する」*2取組.
同制度では,まずは,同市へ「ボランティア申請」*3を行い,その後「ボランティア手帳」*4が交付される.次いで,「ボランティアを募集している施設・学校・自治会など」を同申請者へと情報が提供される.そして,申請者は「募集している活動内容などを参考に直接施設や自治会等に申し込み」を行い「ボランティア活動」を開始する.ボランティア活動の終了後には,申請者は同施設や自治会などへ「『ボランティア手帳』を提示」し「活動時間や内容に応じてスタンプを押印してもら」う.「1時間程度の活動で100ポイントが付与」*5される.
同ポイントは,「年度末」に「ボランティア活動ポイント転換申請書」と「ボランティア手帳を添えて」同市の「高齢者支援課へ申請」する. 「換金」のために「交換できるポイントは年間5,000ポイントが上限」と設定.具体的には「100ポイントにつき100円換算で現金と交換」される.また,「5,000ポイント以上」の場合には,「現金もしくは百専会・野津商工会加盟店で利用できる商品券(5,500円分)の選択が可能」*6にもなる.なお,ポイントは「翌年度以降に繰り越」すこと,「第三者に譲渡することもでき」*7ない.また,「ポイントの管理」は「ボランティア手帳によって行」うため.同手帳を「紛失または棄損した場合」には,同手帳の「再交付は可能」ではあるものの「すでに付与したポイントを再交付することはでき」*8ない,という.
ボランティア活動の内容次第では,「公共サービスの提供を担う住民」*9ともなり得る同取組.ボランティア内容を問わず時間単位でポイントを付与する仕組みのため,ボランティア活動間でのポイントに基づく,ボランティア活動の選択を生じない仕組みとなっている.なるほど.一方で,ボランティア活動の内容への負担次第では,同一労働同一賃金ならぬ,いわば同一ボランティア同一ポイントの制度も考えられそうか.興味深い.

*1:臼杵市HP(健康と福祉)「お達者長生きボランティア制度

*2:前掲注1・臼杵市(お達者長生きボランティア制度)

*3:臼杵市HP(健康と福祉お達者長生きボランティア制度)「臼杵市お達者長生きボランティア登録申請書

*4:臼杵市HP(健康と福祉お達者長生きボランティア制度)「臼杵市お達者長生きボランティア手帳 見本

*5:前掲注1・臼杵市(お達者長生きボランティア制度)

*6:前掲注1・臼杵市(お達者長生きボランティア制度)

*7:前掲注1・臼杵市(お達者長生きボランティア制度)

*8:前掲注1・臼杵市(お達者長生きボランティア制度)

*9:武岡明子「第1章 住民と住民組織」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)23頁

地方自治論入門

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