アベノミクスの成長戦略に示された公共データの民間開放について、福井が先駆的な取り組みを進める。県と県内十七市町が共同し、各自治体が持つ公共データの一部を統一形式化して公開する事業が十月中にも始動する。県政策統計・情報課によると、全県的に統一を図るのは全国初の試みで、県内の情報産業活性化のきっかけづくりなどにしたい考えだ。 (桂知之)
 公共施設所在地などの公共データは自治体のホームページ(HP)などで入手可能。しかし、現状は「データを活用するのに手間がかかる」と同課は説明する。例えば、公共施設や自動体外式除細動器(AED)がある施設の位置情報がインターネット地図上に表記されるアプリケーションソフトを作成するには、現状形式だと、データをアプリで使えるよう電子的に加工・変換する作業が必要となるからだ。ところが、民間開放では最初から加工に適した形式にして「版権フリー」で提供するため、アプリ開発などの事業がやりやすくなる。県内では鯖江市などが自治体単独で民間開放に取り組んでいるが、その取り組みを全県に広げてより良いアプリ開発につなげるのが狙いだ。「AEDの施設情報地図が鯖江市だけしか出ないよりも、隣の福井市も出る方がよい」(同課)。
 県と十七市町でつくり、行政サービスの電子化を検討する「県電子自治体推進協議会」内に形式統一を検討する部会を設置。十月中に初会合を開く。形式統一するデータの種類などを決め、年度内に公開する方針。また、市町共同事業とは別に、県は単独でも民間開放を進める。すでに五十以上の候補が集まっており、年内には提供を開始する予定。県データを活用して制作したアプリのコンテストも予定している。アベノミクスでは、民間開放で行政の情報を民間の柔軟な発想で加工して付加価値を付け、情報産業振興につなげることを思い描く。県政策統計・情報課では「産業振興もあるが、県民が便利な生活を送れる先進地になるといい」としている。

本記事では,福井県内に位置する17市町と福井県によるデータ共同化の取組を紹介.
本記事によると,福井県内に位置する17市町と福井県と間で「各自治体が持つ公共データの一部を統一形式化して公開する事業」を開始される模様.同取組の詳細は,現在のところ,同県HPでは確認できず,残念.
データ内容の「お互いの多様性に配慮」」*1しつつも,形式の統一化(標準化)による「シナジー*2効果も期待ができそうな同取組.統一化の対象となるデータの審議状況.そして,統一化後のデータの活用内容は,要観察.

*1:荒見玲子「健康長寿県のつくり方」東大社研・玄田有史編『希望学 希望の福井,福井の希望』(東京大学出版会,2013年)196頁

*2:前掲注1・荒見玲子2013年:197頁