道は1日、来年度から定年退職後のフルタイムの再任用職員に、単身赴任手当と住居手当を支給する方針を固めた。労使交渉を経て、28日開会予定の第4回定例道議会に職員給与条例改正案を提出する運び。札幌とその近郊を除く勤務地を手当支給の対象とし、今後増加を見込む再任用職員が札幌周辺に集中しないよう、地方勤務を促す狙いだ。
 手当の金額は現職の職員と同じで、住居手当は月額上限が2万7千円。単身赴任手当は、自宅から勤務地までの距離で異なるが、例えば100キロ以上200キロ未満だと月額2万9千円となる。年金支給開始年齢が60歳から65歳に段階的に引き上げられることで来年4月から生じる、年金空白期間の再任用について、道はこれまでの半日勤務から、希望者にはフルタイムで勤務することを認める方針を決めている。
 ただ、道が今年4月に実施した50代の職員へのアンケートで、再任用希望者のおよそ7割が、札幌市やその近郊(石狩、空知管内)を希望。再任用職員が札幌などに集中し、新規採用や若手の職員の配置が困難になるとの懸念が出ていた。道は、再任用のフルタイム勤務について、札幌市と近郊を除いた地方に限った上で、住居手当などを支給し、年齢構成のバランスを確保したい考え。<北海道新聞11月2日朝刊掲載>

本記事では,北海道における再任用職員の取組を紹介.
2013年10月4日に同道の人事委員会は『平成25年職員の給与等に関する報告および勧告』を実施.同報告内では「平成26年度に改定すべき事項等」として「再任用職員に係る給与」に関しても報告している.具体的には「道における再任用職員」は「公的年金の支給開始年齢の引上げに伴い,本年度以降の定年退職者には無年金期間が生じることとなり,今後,再任用職員の大幅な増加が見込まれている」との現状認識が示されている.そこで,同道では「当面の課題に対応した見直し」として,「再任用職員に対する諸手当」が「現在,職務に関連した手当や通勤手当等のみ支給されている」ものの「無年金期間の発生による再任用職員の増加に伴」い「特定の地域に希望が集中することなどにより,自宅からの通勤が困難となる場合が想定され」るため「こうした当面の課題に適切に対応していくことが求められる」と考え,「道の広域的な勤務地事情,さらには民間における状況等を考慮し,単身赴任手当及び住居手当を支給する必要がある」*1と勧告する.
本記事では具体的な内容が報道されており,2014年度から「札幌とその近郊を除く勤務地を手当支給の対象」に「単身赴任手当と住居手当を支給」することにより,「今後増加を見込む再任用職員が札幌周辺に集中しないよう」「地方勤務を促す」という.
同道内での各地への配置を「つなぎとめ」*2を目的とされた,両手当の支給方針.再任用職員への手当の支給範囲は「職務に関連した手当」を越えて支給されることになると解することができそう.実際の支給による効果は,要確認.

*1:北海道HP(本庁各部・局・行政委員会人事委員会事務局給与課給与決定の仕組み、勧告等 )「別紙第1 職員の給与に関する報告」13〜14頁

*2:安藤史江『コア・テキスト 人的資源管理』(新世社,2008年)50頁

コア・テキスト 人的資源管理 (ライブラリ経営学コア・テキスト)

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