全国20の政令指定都市と、政令市のある15道府県は14日、公立学校教職員の給与負担者を道府県から政令市に変更し、道府県税の一部を市税に移すことで合意した。関係自治体によると、地方分権の取り組みで、道府県から政令市への税源移譲が実現する初のケース。地域ごとのニーズを反映した教育行政の進展が期待される。
 2017年度からの運用開始を目指しており、各政令市は人事管理に使うシステムやデータの整理など事務手続きを進める。地方税を規定する税法や教育関連法の改正も必要で、総務省文部科学省に要請する。

本記事では,政令指定都市への県費負担教職員の給与負担の移譲の取組を紹介.同取組の概要は,指定都市市長会HP内の会長談話を参照*1
同談話によると,「指定都市が長年求めてきた」という「県費負担教職員の給与負担等の移譲」.従来,「教職員の任命権は指定都市が有している」一方で「給与等の負担,教職員定数,教職員配置等にる権限は道府県が有してい」た,「これまでの「ねじれ」を解消し,学校の設置者である指定都市が主体的に市民ニーズに応じた教育を提供できる環境が整う」*2ことになる,という.本記事で紹介されている合意は政令指定都市側では「事務配分に応じて基幹的税目の税源移譲が実現することは画期的なものと評価」するものの,加えて「交付税等の必要な財政措置」は「国との調整を継続していく考え」*3を提示.
同合意の前提となる第30次地方制度調査会では「県費負担教職員の給与負担等まとまった財政負担が生じる場合」には「税源の配分(住民税所得割や住民税法人税割のような道府県税と市町村税において課税標準が共通する税目に係る税源移譲や地方消費税交付金等の税交付金など)も含めて財政措置のあり方を検討すべき」*4と答申されており財政措置の検討の必要性が指摘されてもいる.「融合的政府間(教育)財政関係を背景としたソフトな予算制約問題」*5が解消され,自律的政策選択が拡がることになるだろうか.今後の財政措置の設計状況は,要確認.

*1:指定都市市長会HP(意見表明・活動報告県費負担教職員の給与負担等の道府県から指定都市への移譲について(会長談話)) 「県費負担教職員の給与負担等の道府県から指定都市への移譲について(会長談話)

*2:前掲注1・指定都市市長会(県費負担教職員の給与負担等の道府県から指定都市への移譲について(会長談話))

*3:前掲注1・指定都市市長会(県費負担教職員の給与負担等の道府県から指定都市への移譲について(会長談話))

*4:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会)「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」(2013年6月25日)8頁

*5:青木栄一『地方分権と教育行政 少人数学級編制の政策過程』(勁草書房,2013年)326頁

地方分権と教育行政: 少人数学級編制の政策過程

地方分権と教育行政: 少人数学級編制の政策過程