食材の虚偽表示問題を巡り、消費者庁の阿南久長官は20日の記者会見で、景品表示法を改正し、都道府県の権限を広げる方針を明らかにした。罰則強化については「(処分後に)不当表示が繰り返されることは少ない。まずは措置命令を多く出していくことだ」と述べるにとどめた。
 改正は現在同庁しか出せない措置命令を都道府県も出せるようにすることを柱に検討。来年の通常国会提出を目指す。会見で、阿南長官は「消費者庁で全国的なチェックをするには態勢が足りない。地方と一緒に進めていくことが大事」と強調。「(地方の)権限を強める方向で検討する」と述べた。

本記事では,消費者庁における景品表示法改正案による都道府県知事の権限強化の方針を紹介.現在のところ,同日の記者会見要旨*1は公表されていない模様.公表後,要確認.
現在,同法第7条に基づき,都道府県知事には「違反する行為があると認めるとき」には,当該事業者に対して「行為の取りやめ」「若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を指示することができる」.一方で,同記事によると,同法第6条に基づき現在国のみが「行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる」*2措置命令を,都道府県知事にも認める方針とのこと.
現行の同法の実施状況を確認すると,2010年度は,調査件数「936」件に対して措置命令は「20件」,2011年度は「829」件に対して「28件」,2012年度は「726」件に対して「37件」*3と,調査件数は漸減傾向である一方で措置命令の件数は漸増傾向にある.方や,その処理の多くを占めていた「警告」と「注意」は,2010年度が412件,2011年度が405件であったことに対して,2012年度からは両区分を統合し「指導」に統一し,結果,265件が指導による処理*4ており,減少傾向にある.
都道府県知事に措置命令が付与された場合,措置命令件数が増加することになるのか,または,措置命令を背景に「自発的に問題を解決する手法」*5を促すような指示件数が増加するのか,制度改正度の実施状況は,要確認.

*1:消費者庁HP(活動について)「大臣等記者会見

*2:消費者庁HP(活動について大臣等記者会見)「不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)

*3:消費者庁HP(活動について大臣等記者会見)「平成24年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」(消費者庁表示対策課,平成25年8月30日)2頁

*4:前掲注2・消費者庁平成24年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組)2頁

*5:松井望「第10章 政策体系と政策過程」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)205頁

地方自治論入門

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