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県庁食堂３０年以上無償貸与（読売新聞2013年11月21日）

　県が県庁内の食堂や喫茶など飲食施設３か所について、今年３月まで３０〜４０年以上にわたり県職員互助会などに無償で貸し出していたことがわかった。定期監査で改善を求められたことを受け、今年度は有償化するとともに、来年度からは同会に貸し出さず、直接、食堂などを運営する業者を公募することにした。（上田貴夫）
　貸与していたのは、北別館の職員食堂（３００平方メートル）と喫茶（８６平方メートル）、本館の軽食堂（５６平方メートル）。県管財課などによると、県はおよそ３０〜４０年前、互助会と県職員労働組合に対して行政財産の使用許可を出し、無償で貸し出した。互助会などは随意契約で長年同じ業者を入居させ、設備維持費などとして年２４〜９０万円を徴収していたという。
　しかし、２０１２年の定期監査で、食堂などの貸し付け方法を改善するよう検討を求められたため、県は今年度から貸出先を互助会に一本化し、条例に基づく使用料の半額、３４〜１１９万円を徴収。来年度からは貸与をやめ、運営業者を公募する。来年２月に決定する予定だ。同課は「使用許可を出した当時の詳しい経緯は分からない」としながら、かつては県庁周辺に飲食店が少なかったため、県職員の福利厚生事業として互助会などに運営を任せていたと説明している。互助会側は「福利目的で飲食メニューを安価に抑えており、他の業者から参入を希望する声もなかった」と説明。昨年度まで業者から得ていた維持費などについては、全額を設備の修繕など必要経費に充てたとしている。
　関係者によると、３か所とも周辺店舗や宅配弁当業者との競争激化で利用者は低迷。喫茶については、業者が今年７月に赤字を理由に撤退して、空き店舗状態になっているという。
　県によると、参入希望業者向けの説明会が１２日に開かれ、４社が出席。１２月中に応募書類を受け付ける。一方、本館地下にある売店についても、定期監査で同様の指摘が出ており、県は今年度から互助会から条例に基づく使用料の半額を徴収。しかし、来年度以降どうするかは現段階で決まっていないという。
　総務省自治行政局福利課は「職員の福利厚生事業については透明性が重要。自治体は住民への説明責任を果たせる内容かどうか点検してもらいたい」としている。

本記事では，和歌山県における庁舎内の飲食施設の有償化の方針を紹介．
本記事でも紹介されている，2012年度に実施された同県の定期監査結果では「庁舎内の食堂，喫茶，売店等」は「職員互助会などが借り受け，運営されているが，貸付方法等を検討されたい」*1との結果を受けて，「県庁職員等の食堂利用者にとって，メニュー，価格，サービス等でより満足度が高く魅力ある食堂を設置，運営できる出店者をプロポーザル方式にり選定」*2する同取組，同取組自体は，地方自治法第238条の4第7項に基づき，「本来の用途又は目的外に使用」した場合でも「場合によっては積極的に行政財産自体の効用を高める」*3ことが企図されてか，目的外の使用許可となる．
場所は「職員食堂」「喫茶食堂」「軽食堂」*4の3施設．それぞれ，「必須時間」が定められている．職員食堂と軽食堂では「昼食の提供は必須」とされており，そのた「11時から14時までは必ず営業」する．また「昼食，夕食，喫茶の提供は，出店者の選択」*5となる．喫茶食堂では「昼食及び喫茶の提供は必須」となり営業時間は「9時から17時までは必ず営業を行な」い「朝食，夕食の提供」は「出店者の選択」*6となる．ちなみに，メニューでも必須メニューが決められている．例えば，職員食堂では「定食類」，喫茶食堂では「喫茶メニュー」，軽食堂では「麺類（うどん・そば）」*7となる．メニューの価格は，「現在の食堂を基準」としつつ「なるべく安価での提供に努め」*8ることが求められている．使用期間は2014年4月1日から2015年3月31日まで．ただし，上記の使用許可により「使用許可開始日から5年を限度に1年ごとに使用許可を更新」*9もできる．公募段階では，行政財産の使用料の「最低額」として提示．それぞれ年額が職員食堂は1,191,960円，喫茶食堂が340,560円，軽食堂が225,720円*10となる．
2008年12月7日付の本備忘録で項目立てを試みて以来の本備忘録の断続的な観察課題のひとつ「庁舎管理の行政学」の観点からは「第３章：役所食堂の行政学」としても整理ができそうな同取組．今後の応募状況は，要経過観察．