災害弱者の避難援助や高齢者の孤立防止策について定める「地域福祉計画」を策定した市区町村が、2013年3月末時点で全市区町村の63.8%に当たる1111であることが30日、厚生労働省のまとめで分かった。12年3月末から4.8ポイント増えたが、4割近くが未策定だった。
 策定していない理由としては「人材や財源不足」「他の行政計画で代用」などが挙げられている。厚労省は「策定の義務はないが、災害に備えて積極的に取り組んでほしい」としている。「13年度以降に策定予定」は8.2%の142。「策定未定」は28.1%の489だった。全ての市区町村が計画を策定したのは福井、岐阜、静岡、大阪、熊本の5府県だった。
 策定済みの市区町村のうち、51%の567が計画を改定した。その際、平時や災害時に介護を必要とする高齢者や障害者らを支援する方法を新たに盛り込んだ自治体が多かった。地域福祉計画は、高齢者や障害者らの支援を個別に進めると、情報を共有できず機能しない恐れがあるため、総合的な方針として策定。市区町村は高齢者支援や民間ボランティアとの協力など具体的な内容を定め、都道府県は市区町村への支援方針をまとめる。〔共同〕

本記事では,全市区町村における地域福祉計画の策定状況を紹介.厚生労働省による「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定状況等」*1に関する調査結果を紹介.
同調査結果によると,東日本大震災の影響を受けた178市町村を除く全市区町村では,2013年3月31日現在,1,111市町村,63.8%が「策定済み」*2とある.市区と町村別の「策定済み」件数と策定率では,市区では677市区,83.4%,町村は434町村,46.7%とある*3
同調査では,複数回答方式で「市町村地域福祉計画の策定効果」を尋ねており,その結果,「地域の要望や課題が明らかになった」ことをあげる市区町村が最も多く(729市区町村),次いで「地域福祉関連活動・事業の推進につながった」こと(658市区町村),「各種ネットワーク形成や連携強化のきっかけになった」(586市区町村),「住民・行政等の役割が明らかになった」(580市区町村)*4との回答となる.
都道府県間」での「市町村地域福祉計画」の「策定状況」は「最大約3.5倍の開き」*5があるとされる同計画.同計画自体は努力義務であるため「計画を策定しようという意思があるからこそ策定される」*6と解される.
では,なぜ策定しないのか.本記事でも紹介されているように同調査では「策定未定市町村の策定未定理由」を複数回答方式で尋ねている.同調査結果を確認すると,最も多い回答は「人材・財源等,策定体制の不備・不足」こと(282市区町村),次いで「他の行政計画により代用」(232市区町村),「関係機関,他計画との調整が必要」(158市区町村),「他計画の策定・改定を優先」(151市区町村)*7とある.
方や同調査項目では「策定の必要性を感じない」という選択肢も用意されており,回答数は46市区町村とある.相対的には策定しようという意識はありつつも,策定体制の不備・不足,他計画作成の優先順位と内容の補完性から同計画が未策定である様子も窺えそう.「他の行政計画により代用」を中心とした未策定市区町村では,策定市町村が得られたとされる「策定効果」の現状は,要確認.

*1:厚生労働省HP(報道・広報報道発表資料2013年12月市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定状況等について公表します)「資料1市町村地域福祉計画策定状況等調査結果」(平成25年3月31日時点調査)

*2:前掲注1・厚生労働省(資料1市町村地域福祉計画策定状況等調査結果)1頁

*3:前掲注1・厚生労働省(資料1市町村地域福祉計画策定状況等調査結果)2頁

*4:前掲注1・厚生労働省(資料1市町村地域福祉計画策定状況等調査結果)4頁

*5:前掲注1・厚生労働省(資料1市町村地域福祉計画策定状況等調査結果)13頁

*6:菱沼幹男「地域福祉計画と福祉まちづくり」日本福祉のまちづくり学会編『福祉のまちづくりの検証』(彰国社,2013年)162頁

福祉のまちづくりの検証―その現状と明日への提案

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*7:前掲注1・厚生労働省(資料1市町村地域福祉計画策定状況等調査結果)4頁