つながる図書館: コミュニティの核をめざす試み (ちくま新書)
- 作者: 猪谷千香
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/01/07
- メディア: 新書
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本書は,同書から10年経過したなかでの日本の「公共図書館」の現状を伝える良書(来年度,学生さんと一緒に再読してみたい).本書が紹介する図書館は,武蔵野プレイス,千代田図書館,小布施町の「まちとしょテラソ」,鳥取県立図書館,神奈川県立図書館,武雄市図書館と伊万里市民図書館,ふなばし駅前図書館,海士町中央図書館.これらの「公共図書館」では,来館者の「課題解決型」(85頁)の役割を果たしたり,さらには「本の貸し借りによって生まれるコミュニケーションが,人と人をつなぎ,町を作っていく」(217頁).本書を読むとこの10年間で「公共図書館」はまさに「変貌」(15頁)したことがよく分かる.
恐らくこの10年間で制度的な変化の一つには,指定管理者制度の導入がある.図書館のあり方を考えるうえでは,同制度との関わり方を考えざるを得ない.本書も同制度と図書館の現状と課題を直接,間接的に描く.同制度との関係で,本書を読みなるほどと思った箇所は,次の指摘.
「指定管理者制度の是非にかかわらず,図書館はいずれにしても衰退する.直営だろうが,指定管理者だろうが,自治体のガバナンスが非常に重要なのだ」(188頁)