厚生労働省は13日、2008〜12年の市区町村別の人口動態統計を発表した。1人の女性が生涯に産む子供の平均数を示す合計特殊出生率は下位10位の半数が東京で、大都市圏が低かった。上位には九州・沖縄地方の島しょ部が並んだ。
市区町村別の人口動態統計は年ごとの変化が大きいため、厚労省は5年分をまとめて分析している。今回は03〜07年の統計に続き6回目。
合計特殊出生率が最も高かったのは鹿児島県・徳之島の伊仙町で2.81。前回の統計に続いて1位だった。沖縄県・久米島の久米島町(2.31)、同県・宮古島の宮古島市(2.27)と続いた。上位30位のうち25市町村が九州・沖縄地方の島しょ部の自治体だった。出生率が最も低かったのは京都市東山区の0.77。東京都豊島区(0.81)、大阪府豊能町(0.82)と続いた。全国平均は1.38だった。
厚労省人口動態・保健社会統計課は「島しょ部は地域や家庭が連携して子育てをする環境が整っている」と指摘。下位に都市部が集中している点は「仕事に励む女性が多く、20代を中心に未婚者が多いことが影響している」とみている。
本記事では,厚生労働省における「人口動態保健所・市区町村別統計」の公表を紹介.
公表された統計は2008年から2012年の「概況」*1.同概況によると,まず,本記事で紹介されている「出生」*2では「合計特殊出生率の最も高い市区町村と最も低い市区町村の差は2.04」となり,高低それぞれを確認すると「合計特殊出生率の高い方」では,伊仙町が2.81と最も高く, 久米島町(2.31),宮古島市(2.27)の順となる.「低い方」では京都市の東山区(政令指定都市は,行政区単位で推定されているのですね)が0.77 と最も低く,豊島区(0.81),豊能町(0.82)の順となる.なるほどやはり「出生率の低いのは,地方よりも都市」*3とある.
また,本記事及び他の記事*4でもなぜだか紹介されてはいない「死亡」*5では,まず「標準化死亡比が低い方」では,男性では横浜市の都筑区が73.3,次いで同市の青葉区(74.6),川崎市の麻生区(76.2)となる.女性は北中城村が63.8,北瞥町(68.1),開成町(70.6)となる.「高い方」では,男性では大槌町が192.4,次いで大阪市西成区(181.9),陸前高田市(167.3),女性では同じく大槌町が212.7,女川町(196.6),陸前高田市(177.0)とある.これは,「東日本大震災による死亡を除いた場合」*6には,大阪市の西成区を除く市町はいずれも推定には出て来ない.一つ数値から同震災の影響と被害が窺える.痛ましい.
*1:厚生労働省HP(統計情報・白書:各種統計調査:厚生労働統計一覧:人口動態統計特殊報告:結果の概要)「平成20年〜平成24年人口動態保健所・市区町村別統計の概況」
*2:厚生労働省HP(統計情報・白書:各種統計調査:厚生労働統計一覧:人口動態統計特殊報告:結果の概要:平成20年〜平成24年人口動態保健所・市区町村別統計の概況)「2 出 生」
*3:松田茂樹『少子化論: なぜまだ結婚・出産しやすい国にならないのか』(勁草書房,2013年)168頁
*4:時事通信(2014年2月13日付)「出生率トップは鹿児島・伊仙町=2回連続−自治体別の過去5年平均・厚労省」,共同通信(2014年2月13日付)「出生率最低は京都市東山区 08〜12年、大都市圏で低く」
*5:厚生労働省HP(統計情報・白書:各種統計調査:厚生労働統計一覧:人口動態統計特殊報告:結果の概要:平成20年〜平成24年人口動態保健所・市区町村別統計の概況)「3 死 亡」
*6:厚生労働省HP(統計情報・白書:各種統計調査:厚生労働統計一覧:人口動態統計特殊報告:結果の概要:平成20年〜平成24年人口動態保健所・市区町村別統計の概況)「1参考」