神戸市人事委員会は18日、2014年度の大卒向け職員採用試験から「特別枠」を新設すると発表した。採用人数の1割程度で、1次試験は教養、専門試験を廃止して自己PRの「エントリーシート」と小論文の試験とする。公務員試験用の特別な受験対策を不要とすることで、多様な人材の確保を目指す。(田中陽一)
 一般枠についても、教養試験は日本史や地理、物理などの出題を取りやめ、文章理解や時事問題を重視する「基礎的能力試験」にあらためる。法律や経済などの4分野から選択する専門試験は残す。特別枠は15年4月1日時点で24歳以下、一般枠は同時点で27歳以下が対象。大学院卒の場合はそれぞれ26歳、29歳とする。採用人数は13年度(145人)並みを予定し、特別枠の定員は10〜20人となる見込み。2次試験の集団討論も方式を変更。意見を出してまとめるだけでなく、自治体の課題について解決策も含めて議論、発表する「グループワーク」とする。土木、建築、電気、機械の技術職についても、採用人数の1割程度の特別枠を設け、1次を専門試験のみとする。採用試験の見直しを人事委に要請していた久元喜造市長は会見で「神戸の将来を担う優れた人材が採用されることを願っている」と述べた。詳しい試験案内は5月2日に公表する。市人事委事務局TEL078・322・5823

本記事では,神戸市における職員採用の取組方針を紹介.
2014年3月10日付の同市長による定例会見によると,「グローバルな規模で人材獲得競争が今起きている」なかで,同市でも「優れた人材を獲得」するためには,「公務員試験のための特別の準備をしなくても,きちんと大学なりで自分の勉強をしっかりとやっていく,そうやってきた優れた人材を見極めて,志の高い人材が試験に受かるような試験内容を考えていただきたい」*1と同市人事委員会に要請されたことを受けての同取組.具体的には,本記事によると,1次試験での教養及び専門試験の廃止とエントリーシート及び小論文による選考を実施される模様.
「グローバルな規模」に限らず,「兵庫県と神戸市の場合,兵庫県の競争倍率のほうが高い」*2との観察結果からは,他の自治体間での競合他社との「人材獲得競争」でも効果が見られそうな同取組.一般的に,試験区分と幹部職員への登用が直線的ではないことから,「脱衣場だけは異なるが湯場は混浴となっている温泉のようなもの」*3との理解に基づくと,事前規制となる採用試験という「脱衣場」よりも,「混浴」としての人事管理という事後規制にもとづき,人材の調達と配分を進めるということになるのだろうか.採用後の人事管理方式も,要確認.

*1:神戸市HP( 総合メニュー市政情報市長室市長会見2014年(平成26年))「定例会見 2014年(平成26年)3月10日

*2:北村亘『政令指定都市 - 100万都市から都構想へ』(中央公論新社,2013年)137頁

*3:前傾注2・北村亘2013年:134頁