会計検査院は23日、2011年度の地方公務員の特殊勤務手当などに関する実態調査をまとめた。15道府県と174市町村を調べたところ、給与などと重複する「二重払い」の手当が約36億円あり、09年に廃止された自宅所有者への住居手当も約125億円に上った。
 国家公務員に認められない手当や特別休暇なども多く、検査院は必要性の検討や制度の見直しなどを求めている。調査は04年度の実態を調べた前回調査(06年発表)に続き2回目。特殊勤務手当の総額は約17%減の約570億円だったが、千葉県や福岡県など71自治体で前回より増えた。検査院は、基本給などと別に支給される特殊勤務手当について(1)国家公務員にはない手当(2)給与などと内容が重複する「二重払い」の手当(3)日割りなどが適当なのに月額で支給される手当――に3分類。
 (1)は約354億円と前回より22%増える一方、(2)が約36億円、(3)は約136億円でいずれも減少した。「二重払い」では保健所の勤務医らに対し、給与とは別に「医師研究手当」を支給するケースなどが目立った。自宅所有者への住居手当は、調査対象の自治体の約58%が11年度も存続。千葉県や大阪府など5府県では人事委員会が廃止勧告したにもかかわらず続けていた。

本記事では,会計検査院における「地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について」*1の検査報告の内容を紹介.同検査は,北海道,山形県,栃木県,千葉県,山梨県,長野県,静岡県滋賀県大阪府兵庫県鳥取県岡山県愛媛県,福岡県,宮崎県の15道府県及び同道府県に位置する174市町村を対象*2に実施.
本記事では特殊勤務手当に関する検査結果を紹介するものの,同検査では,まずは「地方財政計画と決算額のかい離の状況」*3を検査する.「かい離」の検査結果からは「恒常的に決算額地方財政計画額を上回」*4ることを報告.加えて,同院では,「かい離」の要因として,「基金取崩額」*5,「超過課税等」*6,「貸付金」*7の3項目によると報告する.
同院では,「かい離」への所見として,次のように述べる.まずは,「これまでも地方財政計画の合理化,適正化」により「地方財政計画(歳出)と決算額(歳出)とのかい離額は一旦縮小した」*8と一定の評価はします.一方で,今後は「地方財政計画額と決算額のかい離の要因」の「全てを把握することは困難」であると留保はしながらも,「地方財政計画の妥当性の検証」には「かい離の把握に努める」必要性を延べる.そして,既に公表はされてはいる「かい離の状況の公表」の際に「地方財政計画に計上されている内容と普通会計決算に計上されている内容の差異,決算額(歳出)が地方財政計画(歳出)を上回る要因等の有用な情報の提供」*9の必要性を指摘する.
いわば「奥の院*10からの「透明性の確保」*11を提案する同検査.「かい離」現象の財政制度上の要因は,なるほど上記の3項目ではあるものの,ではその同要因に至る各自治体の要因は,要確認.

*1:会計検査院HP(公表資料検査関係検査結果検査結果(平成26年分) 国会及び内閣への随時報告(26年4月23日))「会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について」(会計検査院平成26年4月)

*2:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)18頁

*3:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)13頁

*4:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)26頁

*5:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)27頁

*6:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)28〜29頁

*7:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)29〜31頁

*8:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)63頁

*9:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)63頁

*10:小西砂千夫『地方財政のヒミツ』(ぎょうせい,2012年)鄽頁

地方財政のヒミツ

地方財政のヒミツ

*11:前掲注1・会計検査院会計検査院第30条の2の規定に基づく報告書 地方財政計画及び地方公務員の特殊勤務手当等の状況について)63頁