- 作者: 加賀美雅弘,久邇良子,川手圭一
- 出版社/メーカー: 学文社
- 発売日: 2014/04/01
- メディア: 単行本
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「市民のもっとも身近な地方政府の関与」(212頁)策としての地域委員会での諮問を中心とした権限配分とそのゆえの限界,さらには,権限強化への動向を通じて,多層的なガバナンスの設計とは,国内はもちろん,国際間でのなお一層の難しさを考えさせていただきました.また,欧州議会の選挙結果では,1979年以降の7回の選挙を繰り返すたびに投票率が低くなっている現状を踏まえて論述された,次の箇所はなるほどと思いました.
「欧州議会の権限も次第に強化され,今やEU予算の約半分,また立法のほとんどに欧州議会の承認が必要になっている.それにもかかわらず,欧州レベルの議会は,肝心の域内市民にとっては逆にますます疎遠な存在となり,欧州議会選挙は,各国政権に対する信任投票の色彩が強くなり,引く投票率の下,投票動機の強い極右などの異議申し立て政党が勢力を伸ばすという皮肉な結果をもたらしている」(203〜204頁)