舛添要一知事は九日の定例記者会見で、都庁組織を活性化するため新たに「補佐官」ポストを設置し、十六日付で都の局長級幹部六人を起用する、と発表した。担当分野ごとに都庁内部や民間企業、国などとの調整役に位置づけ、政策決定に生かす狙いだ。
 舛添知事は「就任後三カ月がたち、さまざまな問題が組織の中にある。職員十六万五千人の巨大組織を効率的、効果的に動かしていく第一歩にする」と説明した。補佐官ポストは現職と兼務する形で運用する。取りまとめ役の首席補佐官をはじめ、二〇二〇年五輪・パラリンピック社会保障▽渉外▽まちづくり▽産業・雇用−の五分野に一人ずつ任命した。随行する知事秘書として部長級、課長級職員を十六日付で増員する人事異動も発表した。
 補佐官人事は次の通り。
 首席・総括担当 武市敬知事本局次長▽オリンピック・パラリンピック担当 岸本良一オリンピック・パラリンピック準備局次長▽社会保障担当 藤田裕司福祉保健局理事▽渉外担当 猪熊純子知事本局理事▽まちづくり担当 安井順一都市整備局技監▽産業・雇用担当 山本隆産業労働局次長

本記事では,東京都における「補佐官」職の設置を紹介.同職に関しては,2014年5月9日付の同都知事定例記者会見を参照*1
同記者会見によると,同職は「都のトップマネジメントの体制を強化するため」*2に設置.同職の役割は,「都庁内部はもとより,国や民間企業などとのリエゾン役」という「いわばリエゾンオフィサー」となり知事への「連絡将校係」を務め,「その中で得た情報などをもとに」「補佐官会議での議論を通じて政策決定に活用」*3することにある,という.同職には,現在の「職員である理事級の6名」を「今の現職と兼務」*4により就任する,
また,同職は,国でいう「内閣官房の審議官だと思っていただけば」との説明がある.一方で,国とは異なり「兼職」*5であることが同職の特徴となる.そのため,同記者会見では,兼職であることににより,知事の「全体でそっちに軌道修正しないとだめだよということを言う役割」と,所属する局等からの「知事の補佐官なってんだから,その知事の考え方は間違ってるって言ってこいと言ったら,それ言わせるための役割でもある」*6と,二つの考え方を同職が調整する.特に,知事側,局側双方の意見を「補佐官会議をしょっちゅうやる」ことにより,同会議「の中で」の「調整」*7を企図する.
「都の行財政」は知事本局,「組織、定数その他行政一般」は総務局と既存の事務分掌上の「総合調整」*8のための組織とともに置かれる同職は,いわば「「総合調整」の「総合調整」」*9を担うことになりそうか.就任期間や「補佐官会議」の開催等の同職の運用は,要経過観察.

*1:東京都HP(知事の部屋舛添知事記者会見)「舛添知事定例記者会見平成26年5月9日(金曜)

*2:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月9日(金曜))

*3:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月9日(金曜))

*4:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月9日(金曜))

*5:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月9日(金曜))

*6:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月9日(金曜))

*7:前掲注1・東京都(舛添知事定例記者会見平成26年5月9日(金曜))

*8:東京都HP(条例・規則集東京都例規集データベース)「東京都組織条例」(昭和三五年七月二日,条例第六六号)

*9:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)184頁

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

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