高浜市は、市役所本庁舎が老朽化し、耐震基準も満たしていないとして、民間建物を借りて本庁舎にする方針を決め、三十日、事業概要を発表した。賃借期間は二〇一七年一月から二十年とし、立地や規模など条件に合う物件の提案を十一月末まで募り、本年度中に選ぶ。市町村が本庁舎を賃貸物件で確保することに総務省市町村課は「聞いたことがない」と話している。
 現在の本庁舎は、一九七七年二月に建てられた鉄筋鉄骨の地上五階、地下一階(延べ約七千七百平方メートル)。老朽化が目立ち、現行の耐震基準も満たしていないため大規模地震の発生に備えた対策が急務となっている。市が設置した有識者による「公共施設のあり方委員会」は昨年三月、本庁舎を民間から借りた場合は、年ごとの費用負担が平準化でき、変化していく市内の人口分布にも柔軟に対応できるとして、賃借も含めて検討するよう市に提案していた。市によると、現本庁舎の耐震改修工事費や二十年間の維持管理費などは二十七億四千八百万円と試算。市内の事業所は製造業が多く、市の財政が景気に左右されやすいことなどから、民間建物を活用することにした。
 募集する物件は市内に立地し、市民にとって交通アクセスが良く、自然災害の危険が比較的少ないなどが条件。既設か新設かは問わず、本庁舎を取り壊した後の敷地に民間が建物を建設する提案でもかまわない。規模は、執務に使える面積が現本庁舎(三千七百平方メートル)の95%に当たる三千五百平方メートル以下。二十年分の賃料は、本庁舎の耐震改修工事費などで試算した額などを基に約二十八億円以下とする。市は具体的な募集要項を八月に公表する考えだ。(片山健生)

本記事では,高浜市における庁舎整備事業の取組を紹介.同事業の方針は,同市HPを参照*1
同取組は,同「市が支払うコストの平準化」を目的に,「現行の窓口・事務・会議及び市議会等の機能」を「20年間」「果たすことのできる施設」を「施設整備に要する費用を含む毎期定額支払い」となる「定期借家権等」を用いて「事業者から賃借する」*2.当該施設では「窓口,事務,会議,議会等」の「市庁舎機能」と「市庁舎の多目的活用ゾーン」は「必須」,「他の公共施設の複合化・合築」や「収益機能の複合化・合築」*3は提案次第となる.
同市では,事業者からの具体的な提案には3つの方式を企図している.一つめは「必要に応じて改修を実施」する「既存民間施設の活用」する方式,二つめは「事業者にて用地を確保した上で,施設を新築」する方式,三つめは「現市庁舎敷地を使用して.施設を新築」*4する方式である.いずれの方式でも「20年間の維持管理費を含んだ賃料の合計を上限額」は「2,748百万円」と「想定」*5する.
「庁舎や学校等の空きスペースの有効活用等」*6とは真逆の,民間建物からの全面的な借受による庁舎整備となる取組.興味深い.今後の募集状況は,要経過観察.

*1:高浜市HP(各グループのページ行政グループ高浜市役所本庁舎整備事業について)「高浜市役所本庁舎整備事業 実施方針」(平成26年5月30日,高浜市

*2:前掲注1・高浜市高浜市役所本庁舎整備事業 実施方針)1頁

*3:前掲注1・高浜市高浜市役所本庁舎整備事業 実施方針)2頁

*4:前掲注1・高浜市高浜市役所本庁舎整備事業 実施方針)2頁

*5:前掲注1・高浜市高浜市役所本庁舎整備事業 実施方針)2頁

*6:松本英昭『新版 逐条地方自治法第7次改訂版』(学陽書房,2013年)947頁

新版 逐条地方自治法

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