多摩地区の自治体で職員採用試験を前倒しして実施する動きが広がっている。日野市や西東京市は、毎年9月だった一般事務職員の採用試験を今年から7月に実施。立川、町田両市でも近年は6〜7月の試験日程が定着した。民間企業や他の自治体に先駆けて優秀な学生を確保するのが狙いだ。一方で、辞退者の増加を危惧する多摩市は従来の9月に試験日程を戻し、熱意のある学生獲得を目指す。
 自治体関係者によると、市町村の職員採用試験は他の自治体との併願を避けるため、かつては9月下旬の日曜日が「統一試験日」とされていた。その後、面接などを繰り返し、11〜12月に合否が決まるのが通例だった。ただ、就職先を早く決めてしまいたい学生は、採用試験前に民間企業の内定を得たり、国や都道府県などの職員採用試験に挑んだりするケースが多い。9月の試験日には受験者が志願者の半数程度に落ち込む市町村もあるという。
 日野市は今年から日程を2か月前倒しして、7月27日に1次試験を行う。筆記試験も従来型の公務員試験から一般教養重視に変更。予備校通いや通信教育などの公務員試験対策をしていない民間志望の学生にも門戸を開き、幅広い人材を確保する考えだ。同市職員課は「役所の仕事は変わってきており、コミュニケーション能力や企画力のある多様な人材が求められている」と説明する。立川市は3年前から試験日程を前倒ししており、今年も7月27日に1次試験を行う。学生に人気の高い武蔵野市三鷹市も日程を早めているが、立川市人事課の担当者は「何よりも立川を愛している人材に来てもらいたい」と力を込める。ただ、6月実施が定着した町田市は30人程度の採用に対して毎年900人前後の応募があるが、「当日の欠席も多い」(市職員課)と漏らす。
 一方、2012、13年と採用試験を7月に行った多摩市は、今年の1次試験を9月にした。日程を前倒しすれば志願者は確実に増えるが、その後の採用辞退率も高くなる傾向があるという。今年は採用予定が例年より少ないこともあり、近隣自治体に日程を合わせ、同市に狙いを絞った熱意のある学生の獲得に力を注ぐという。

本記事では,日野市,西東京市立川市,町田市,武蔵野市三鷹市,多摩市における職員採用試験の日程を紹介.
「9月下旬」での「統一試験日」から6月から7月の実施による「前倒し」化を図る日野市,西東京市立川市,町田市と,9月実施での再帰化となる多摩市.不均一な試験日となる多摩地区内で各市間での「人材獲得競争」*1採用状況は,要観察.

*1:大原瞠『公務員試験のカラクリ』(光文社,2011年)165頁

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

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