配偶者の海外赴任に同行する公務員に休職を認める「配偶者同行休業制度」の法制化を受け、二十三区でも導入が始まった。人材の流出を防ぐ効果が期待される一方、民間企業での導入は一部にとどまる。
 六月の区議会本会議で九区が条例案を提出、中央と新宿、文京、墨田、渋谷、北の六区で可決された。品川、荒川、江戸川の三区も近く可決の見込みで、残る区も制度導入を予定、検討している。
 公務員の配偶者同行休業制度は、女性の活躍の支援策として国が検討。昨年十一月、国会で「国家公務員の配偶者同行休業に関する法律」「地方公務員法の一部を改正する法律」が成立した。今年二月に施行され、各自治体が準備してきた。各区とも三年を超えない範囲内で認め、休職中は無給となる。文京区の女性職員(35)は、欧州へ五月に赴任した国家公務員の夫(34)に同行するため、七月一日から約三年間休職する。「制度がなければ私が辞めるか夫が単身赴任するかの二択だった。続けてきた仕事を辞めたくないが子どもも欲しく、三年間別々に暮らすのかと悩んでいた。制度ができ助かった。職場に感謝し、帰ったら恩返ししたい」と語る。
 一方、人事院の二〇一一年の調査によると、従業員五十人以上の民間三千五百三十社で、配偶者同行休業制度があるのは0・9%。個別対応していると答えた会社と合わせても全体の1・6%だ。荒川区の木村悦子・人事政策担当課長は「民間はまだ超大手企業だけ。該当者の多寡ではなく、多様な働き方ができるよう公務員から枠組みを作っていくことが大切」と話した。 (原尚子)

本記事では,中央区,新宿区,文京区,墨田区,渋谷区,北区における「職員の配偶者同行休業に関する条例」の成立を紹介.
本記事でも紹介されているように,2013年11月に地方公務員法第26条の4の改正,同法第26条の6に新設された「配偶者同行休業制度」*1.同制度では,条例に基づき,任命権者は「職員」が「外国での勤務等」で「外国に住所又は居所を定めて滞在する」「配偶者」と「当該住所又は居所」で「生活を共にする」ことを理由に「休業を申請した場合」,「公務の運営に支障がないと認めるとき」に「職員の勤務成績その他の事情を考慮した上」で「当該休業を承認することが」できる制度.「休業の期間」は「3年を超えない範囲内において条例で定める期間」であり,「当該期間の範囲内であれば1回の延長」が可能となる.ただし,「職を保有するが職務に従事」しないため,「給与は支給しない」*2
「家族と離れ離れ」*3とはならないものの,給与の支給も行われない同制度.実際の運用状況は,要経過観察.

*1:総務省HP(所管法令等新規制定・改正法令・告示 法律)「地方公務員法の一部を改正する法律について(配偶者同行休業制度)

*2:前掲注1・総務省地方公務員法の一部を改正する法律について(配偶者同行休業制度))

*3:古林海月『わたし,公僕でがんばってました.』(中経出版,2011年)101頁

わたし、公僕でがんばってました。

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