みんなが幸せになるための公務員の働き方

みんなが幸せになるための公務員の働き方

嶋田暁文先生よりご恵与賜りました.誠にありがとうございました.

自治体職員に対するつきない信頼がある.

ご著書を拝読し,強くその思いを持ちました.例えば,「内発的動機づけ」の重要性(33頁)の指摘は,自治体職員に就く人びとがもつ潜在能力への信頼があるからでしょう.また,「真剣に住民と向き合い続けることで,真の信頼を勝ち取ることができる存在」(58頁)との言葉は職員という職種がもつ可能性への信頼,さらには,「裁量性の判断の余地」(194頁)は,職員とその職場の自己規律による適切な政策実施への信頼を窺えます.
しかし,能力も存在性も自己規律の実施も,潜在的であり可能性に止まっているのはなぜだろうか.本書を読むとさらなる問いが湧いてきます.御著書では「こなす仕事」(23頁)をはじめとする「働き方」にその原因を読み取られています.これが誠に説得的でした.特に,嶋田先生が展開される働き方改革は,堅固な研究成果に裏打ちされており,空虚な「べき論」(199頁)ではないことがさらにその説得力を増しています.
曰く,内なる声を大切にする意識,政策指向型発想への転換,未来志向という職員の意識改革に結びつくでしょうし,余分な仕事をしないとい仕事のすすめ方は職場の規律にも結びつくようです.そして,職員に求められる4つの能力を身につけ,「分析こそ命」(111頁)と「政策事実」(105頁)に向き合いながら問題を解決する働き方こそ,信頼性を得られる基盤になるのでしょう.
嶋田先生がこれまでに出会いになり,議論を交わされた職員さんたちの悩みやためらい,そして,希望への声が行間から聞こえてくるようでした.とはいえ,本書の思考成果は決して借り物ではありません.その声や思いをを嶋田先生が受け取り,優しさと強いの決意のなかで表現されたように拝察いたします.
働くことに悩む方が手に取ると,一人一人心の中で,「それでも,できることはたくさんあります」(195頁)と強く思い続ける機会を与える魅力的な一冊です.
心より御礼を申し上げます.誠にありがとうございました(amazonではまだ表示されていないようですので,出版社をリンク).