おでかけ定期、使って健康に−。富山市が六十五歳以上の市民に発行する「おでかけ定期券」の利用者を対象にした調査で、利用した日の歩数は利用しなかった日より一人平均で千三百九歩も多くなることが分かった。一歩歩くごとに医療費の削減効果があるとする試算では、利用者全体で年間七千五百六十万円の削減になるとも。市は定期券の健康面への効果にも手応えを感じている。(伊勢村優樹)
 定期券は午前九時〜午後五時の間、路面電車やバスを百円で利用できる。三月末現在、市内の高齢者の約24%にあたる二万二千六百八十一人が持っており、一日平均で二千五百九十一人が利用。お年寄りが、マイカーに頼らず外出しやすいよう支援している。
 調査は、同市総曲輪の地場もん屋総本店を訪れた定期券所有者百五十人を対象に、五月十五日〜六月九日に実施。定期券を利用した三日間と、利用しなかった三日間の歩数や移動距離、目的などを調べた。百三十一人(男十六人、女百十五人)から得たデータを分析した結果、定期券を利用した日の一人平均の歩数は七千十九歩で、利用しなかった日より千三百九歩増えた。市は、一歩歩くごとに一人あたり〇・〇六一円の医療費削減効果があるとする筑波大の試算に基づき、昨年度の定期利用実績から医療費削減額も計算した。この結果に同市の中心市街地活性化推進課の担当者は「定期券で高齢者が街に来てくれること、そして健康面でも一定程度貢献していることが分かった」と、ダブルの効果に自信を深めている。

本記事では,富山市における中心市街地活性化の取組を紹介.同取組は,同市HPを参照*1
同市に「在住」する「65歳以上の方」が「公共交通機関で市内各地から中心市街地」に出かける際,「1乗車100円で利用できる」「定期券」*2を発行する同取組.また,同定期券を提示すると,「約70店」の「中心市街地にある協賛店」では「粗品の進呈や商品の割引」,「約30施設」の同市の「体育施設や文化施設」では「半額で利用」が可能となる.本記事では,同定期券の利用状況への同市による調査結果を紹介しており,同市内の「65歳以上の方」のうち「約24%」が同定期券を保有しており,一日平均「2,591人が利用」されていることが分かる.加えて,「定期券を利用した日の一人平均の歩数」は「7,019歩」と「利用しなかった日より1,309歩増え」たとのの推計結果も示されている.
「商業振興だけでなく,まちづくりの問題として総合的に取り組む」*3なかで,思いほのか健康という個人的利益の実現にも結びつく同取組.「ダブルの効果」の更なる波及の様子は,要観察.

*1:富山市HP(市民の皆さまその他中心市街地活性化)「おでかけ定期券

*2:前掲注1・富山市おでかけ定期券

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『第3版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2014年)143頁

ホーンブック 地方自治[第3版]

ホーンブック 地方自治[第3版]