兵庫県議会は6日、本会議を開き、危険ドラッグなどの薬物を取り扱う店舗を「知事監視店」に指定し、販売を規制する条例案を全会一致で可決した。県によると、薬物の成分ではなく販売店を規制する条例は全国で初めて。
 「薬物の濫用(らんよう)の防止に関する条例」で、吸引などにより危害が発生する恐れがある薬物を「危険薬物」とする。購入者に吸引や摂取をしないとの誓約書の提出も求める。12月1日から全面施行する。
 販売店に対しては、店舗などに置く場合、商品に名称や用途、製造者の氏名・住所を明記するよう義務付け、身体使用を誘発するような広告と宣伝を禁止。違反を確認したり、関係機関の情報があったりすれば、県薬事審議会の意見を聴き、知事監視店に指定できる。違反があれば警告や販売中止を命令し、従わなければ罰金50万円を科す。警告に従わず、身体使用した者は過料5万円とする。県内で確認されている危険ドラッグ販売店は12店で、県は条例施行後、全店舗を知事監視店に指定する方針。(永田憲亮)

本記事では,兵庫県における「薬物の濫用の防止に関する条例案*1の成立を紹介.
同県知事による「提案説明」によると,条例案では,「成分の指定にこだわらず」「何人も危険な薬物を」「吸入・摂取等により人の身体にみだりに使用してはならないこと」とし,「これを担保するため」「家族や関係者からの通報制度」*2が整備されている.そして,「危険ドラッグと判断される商品の販売・授与等を行う店舗等を立入調査により知事監視店として指定」し「当該商品に販売者名等を表示」を求め,「知事監視店」では「当該商品の取り扱いの厳密な説明」と「購入者等から使用方法等を遵守する旨を記載した誓約書の提供を受けなければ販売・授与してはならないこと」*3とする.
「購入者等が未成年者の場合」には「保護者が未成年者に使用方法等を遵守させること」,「他県域の店舗やインターネット販売からの購入者等」は「同様の誓約書を知事に提出」*4を求めている.さらに「知事監視店の指定後の定期監視を実施」し,「インターネット販売等を監視するネット監視員」,「危険ドラッグの危険性等を周知する啓発強化推進員を配置」*5する,という.「法律の「空白域」」*6に対する,同条例による店舗規制.「知事監視店」の指定状況は,要観察.

*1:兵庫県HP(暮らし・環境健康・福祉薬・献血「兵庫県薬物の濫用の防止に関する条例(仮称)」案に関するパブリック・コメントの実施結果について)「薬物の濫用の防止に関する条例案

*2:兵庫県HP(兵庫県議会 )「定例会臨時会の概要:知事提案説明

*3:前掲注2・兵庫県([定例会臨時会の概要:知事提案説明)

*4:前掲注2・兵庫県([定例会臨時会の概要:知事提案説明)

*5:前掲注2・兵庫県([定例会臨時会の概要:知事提案説明)

*6:吉田利宏, 塩浜克也『法実務からみた行政法 エッセイで解説する国法・自治体法』(日本評論社,2014年)120頁