横浜市が2014年度に行った職員アンケートで、6割以上が「責任のあるポジションに就きたくない」と回答したことが分かった。市の係長昇任試験の受験者数は1993年をピークに減少し、09年度には408人と過去最低を記録。10年度以降は職員に対するキャリア形成支援などの効果で、受験者数はやや上向きつつあるが、昇任に後ろ向きな職員の姿勢が浮き彫りになった格好だ。【飯田憲】
 調査は昨年7〜8月、嘱託員・再任用職員を含む全職員2万2925人(水道・交通・病院経営局職員と市立小中高校の教職員を除く)を対象に行い、88. 1%から回答を得た。
 それによると、職員として仕事に取り組むに当たり、「やりがい」や「誇りと使命感」を持っているかを問われると、いずれも8割以上が肯定的な意見を述べた。一方、「より責任のあるポジションに就きたい」という問いには、「あまりそう思わない」(43. 4%)と「そう思わない」(18. 5%)が合わせて6割を超えた。
 市は、組織の活力を生み出す原動力として、職員の「昇任意欲」を重要な要素と位置づけている。55年から実施している係長昇任試験は幹部への登竜門で、かつては競争率が10〜20倍を超えるほどの難関だった。ところが、「事務区分」で93年に1451人と過去最高を記録して以降は減少を続け、09年度には408人にまで落ち込んだ。
 試験を受験しなかった理由について市が調べたところ、業務量の増大や私生活の両立、仕事に見合った収入など、係長昇任に不安を覚える職員が多いことが判明。そのため市は、試験を必要としない推薦制度の導入や、キャリア形成支援を通じた受験者増に取り組んできた。そうした取り組みが奏功し、受験者数は5年連続で男女とも増加したが、傾向を見ると、社会人採用の職員が受験率を押し上げているのが実態で、学生卒の職員の受験率は微増という。
 アンケートを実施した市しごと改革推進課の担当者は「ワーク・ライフ・バランスをはじめ、働き方の見直しが進む中、『草食』系の職員が増えているかもしれない。責任あるポジションに就き、組織内で自身が成長していく姿を管理職自らが若手職員に見せる必要がある」と話している。

本記事では,横浜市における職員満足度調査の結果を紹介.2014年度の同調査結果の概要は,同市HPを参照*1
2014年「7月14日~8月8日」に,同市の「水道局・交通局・病院経営局」の「企業局」「職員及び市立学校の教職員を除」く,「再任用職員・嘱託員を含む全職員」「22,925名」*2を対象に実施した同調査.「20,207名」からの回答があり,回答率は「88.1%」*3となる.同調査では「あなたは総合的に考えて,現在の仕事・職場・横浜市役所にどの程度満足していますか」という設問を通じて「総合満足度」を尋ねており,その結果,「7点満点中4.57点」で,2012年度の「前回調査」の「4.41点と比較」した場合,「0.16点」「プラス」*4となる.
本記事では,「個別満足度」を尋ねた33の設問のうち問4となる,「より責任のあるポジショ ンに就きたい」への回答結果を紹介.同事項は,「人事給与制度による意欲向上」「仕事上のストレス」「責任のあるポジション希望」「人事考課の人材育成効果」「職場のオフィス環境」とともの「相対的に個別満足度が低い」事項となる.他方で,同調査から得られた「相対的に個別満足度が高い」事項は,「横浜市役所への勤続意向」「職員としての誇り」「上司との関係」「仕事のやりがい」「職場の雰囲気」*5となる.
「ビュロクラシーでありながらビュロクラシーではない」と解される「自治体の組織」*6.高い満足度のなかでの業務の「パフォーマンスとの関係」*7については,要観察.

*1:横浜市HP(市の組織総務局組織しごと改革推進課職員満足度調査)「平成26年度職員満足度調査 (全市版集計結果)

*2:前掲注1・横浜市平成26年度職員満足度調査 (全市版集計結果))

*3:前掲注1・横浜市平成26年度職員満足度調査 (全市版集計結果))

*4:前掲注1・横浜市平成26年度職員満足度調査 (全市版集計結果))

*5:前掲注1・横浜市平成26年度職員満足度調査 (全市版集計結果))

*6:田尾雅夫『公共マネジメント -組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)』(有斐閣,2015年)238頁

公共マネジメント--組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)

公共マネジメント--組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)

*7:前掲注6・田尾雅夫2015年:61頁