多摩地域で「シティプロモーション」活動に力を入れる自治体が増えている。多摩市は観光担当課長職を新設、市内テーマパークのキャラクターを活用した誘客に力を入れる。立川市は「交流大使」を著名人に委嘱する制度を創設した。東京都心への一極集中で多摩地域でも定住人口の減少が予想される。郊外住宅地から脱却した新たな都市イメージを形成し、交流人口の増大を目指す。
 多摩市は市内の多摩センターの魅力を国内外に紹介する「ハローキティにあえる街PRビデオ」を製作した。キティはテーマパーク「サンリオピューロランド」の人気キャラクター。市の「親善大使」に任命しているが、さらに観光資源として積極活用する。ビデオはピューロランドのほか、公園やプラネタリウムなど同センター地区の観光スポットやイベントをキティが紹介する。外国人客を意識し日本語のほか、英語、中国語、韓国語、タイ語の4カ国語の字幕を付けた。市のホームページのほか動画サイト「ユーチューブ」でも閲覧できる。既にあるA4サイズの小冊子「タウンガイド」も、新たにタイ語を加え5カ国語表記にした。多摩市がキティをテコに観光施策に取り組む背景には2020年の東京五輪開催がある。キティは海外でも人気が高く「外国人観光客らの一層の増大を期待できる」(企画課)とみる。同市は4月に市民経済部に観光担当課長職を設置した。将来は観光協会を設ける。
 立川市は今年度からシティプロモーション活動を本格化する。第1弾として、市の新たな魅力を発信するシンボル的な存在となる「たちかわ交流大使」を立川ゆかりの各界著名人に委嘱する制度を導入。初の大使に市在住のジャズピアニストの山下洋輔氏を起用した。山下氏はジャズピアニストとしての高い知名度のほか、エッセイストや自らも卒業した市内の国立音楽大学で教えるなど幅広い顔を持つ。「大使として様々な広報・プロモーション活動に取り組んでもらうことで、市のイメージ向上が図れる」(総合政策部)と期待する。当面は5月に市内で開く音楽イベントに参加してもらう。
 このほか、日野市は今年度、同活動を担当する任期付きの課長級職員に広報映像に長年取り組んできた民間人を採用。府中市は職員全員の広報力を高めるため、メディアを通じた効果的な広報活動を解説したマニュアルを作成した。

本記事では,多摩市と立川市におけるシティプロモーションの取組を紹介.
多摩市では,2015年「4月1日付組織改正」により「国内外からの観光客への「おもてなし」」と「観光の担い手となる組織づくり」の「推進」を目的に,同市の「市民経済部に「観光担当課長」を設置」*1.本記事でも紹介されている通り,「ハローキティにあえる街」を紹介する「PRビデオ」*2を作成し,YouTubeでも配信を開始する.映像は,以下の通り.同市内の多摩センター地区を紹介する(他の地区も紹介してあるとさらによさそうですが).

「行政広報の方向性が行政域内から,行政域外へと重点が変化しつつある」*3広報の一つとしても整理ができそうな同取組.実際の同市への訪問者の推移は,要確認.

*1:多摩市HP(多摩市の組織・各課問合せ先)「多摩市の組織と直通電話番号一覧(平成27年4月1日現在)

*2:多摩市HP(観光・イベントお知らせ)「ハローキティにあえる街PRビデオができました

*3:伊吹勇亮, 川北眞紀子, 北見幸一, 関谷直也, 薗部靖史『広報・PR論-パブリック・リレーションズの理論と実際』(有斐閣,2014年)267頁

広報・PR論--パブリック・リレーションズの理論と実際 (有斐閣ブックス)

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