宮城県内の自治体関係者が空き家の動向を注視している。2013年の総務省調査で、住宅総数に占める割合「空き家率」は全国の都道府県で最小の9.4%となったが、東日本大震災の被災者による住宅確保によるところが大きい。災害公営住宅の完成や入居開始が本格化すれば、再び増加に転じるとの懸念が強まっている。
 「震災の影響で仙台市内の空き家は大幅に減ったが、一時的な現象だ」と市関係者。市内の不動産業者も「被災地の住宅再建が進めば、空き家は増えるだろう」と推測する。総務省によると、13年10月現在の空き家率の全国平均は13.5%で、東北6県の状況は表の通り。宮城の空き家率は全国唯一の1桁台で、最も高かった山梨の22.0%の半分以下。グラフのように前回(08年)調査時の13.7%から大きく下がった。宮城県内では売却用空き家が08年比で3000戸、賃貸用は4万300戸それぞれ減少。宮城県建築宅地課は「被災者の住宅購入と、みなし仮設住宅としての賃貸住宅の需要が増えた結果」と分析する。県庁所在地は一般的に空き家の数が多く、宮城県の場合、仙台市津波被災地である上、他の沿岸被災市町に近いという事情もある。岩手県は空き家率が13.8%と東北で最高。岩手県の担当者は「(同じ県庁所在地でも仙台市と異なり)盛岡市は沿岸部との距離が100キロ以上。空き家活用の動きはそれほど広がらなかった」と語る。ただ宮城でも今後、みなし仮設からの退去が進むのは必至。人口減も加わり、空き家は一気に増える可能性がある。
 国は5月、放置された空き家が治安や防災面に支障を来さないよう、所有者に撤去や修繕を勧告・命令できる特別措置法を全面施行した。自治体の動きも加速し、国土交通省によると14年10月現在、東北6県で70市町村(山形27市町村、秋田23市町村、青森10市町、福島5町村、宮城4市町、岩手1町)が空き家対策条例を制定している。仙台市は14年4月に条例を施行。市の担当者は「市民からの相談が増え、家屋の撤去などにつながった。今後も空き家の適正管理を呼び掛ける」(市民生活課)「空き家の実態を把握し利活用を進めたい」(住宅政策課)と市全体で対策を進める考えだ。

本記事では,宮城県における空き家率を紹介.
2013年の「住宅・土地統計調査結果」によると空き家率が最も低い都道府県は,本記事が紹介する「宮城県*1.次いで,沖縄県(10.4%),山形県(10.7%),埼玉県(10.9%),東京都(11.1%)の順となる*2.他方で,高い都道府県は,山梨県(22.0%)が最も高く,長野県(19.8%),和歌山県(18.1%)とある*3.同県での空き家率が最も低い背景は,本記事によると「被災者の住宅購入」と「みなし仮設住宅としての賃貸住宅の需要」増加によるもの,との推察されている.
「空き家」の「非流動化」*4が観察されるなかで,今後の同県の動向は,要観察.

*1:総務省HP(組織案内統計局統計データ平成25年住宅・土地統計調査調査の結果統計トピックスNo.86 統計からみた我が国の住宅)「参考2 平成25年住宅・土地統計調査結果による住宅に関する主な指標(確報値)」14頁

*2:前掲注1・総務省(参考2 平成25年住宅・土地統計調査結果による住宅に関する主な指標(確報値))14頁

*3:前掲注1・総務省(参考2 平成25年住宅・土地統計調査結果による住宅に関する主な指標(確報値))14頁

*4:公益財団法人日本都市センター編『都市自治体と空き家』(公益財団法人日本都市センター,2015年)5頁

都市自治体と空き家―課題・対策・展望―

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