政府が成長戦略の柱とする国家戦略特区の取り組みが東京都内で加速してきた。国や都は15日の会議で、国際会議用の大型ホールや宿泊施設を大手町に整備する計画など9件を特区事業として了承。さらに都は都心周辺9区に限定している特区を都内全域に広げるよう要望した。都内の自治体は今後、子育てや農業などで規制緩和による成長戦略を検討する方針だ。
 了承した9件は今後、有識者の諮問会議を経て、安倍晋三首相が正式に認定する。
 東京都の舛添要一知事は同日、特区について「いい方向に向かっている。これからスピードが出てくる」と記者団に語った。都の特区指定地域は千代田や中央、港、新宿などの9区だが、都は同日の会議で指定地域を他区や多摩地域、島しょ部にも拡大するよう正式に要請した。政府は今秋にも政令を改正し、対応する方針だ。
 これを受け、荒川区や世田谷区などは「子育て特区」として都市公園法の規制を緩和し、公園内での保育所整備を目指す。練馬区多摩地域自治体は農地を有効活用するため、税制優遇などを柱とする都市農業特区を検討。島しょ部では酒税法の特例として、特産焼酎の原酒などを少量製造・販売できるようにし、外国人観光客の一層の誘致につなげる考えだ。
 同日の会議では、都は金融関連の起業支援拠点を兜町に設ける事業や、有楽町の旧都庁舎跡地の再開発、西新宿でのアトリウム空間の整備など6件を追加提案した。いずれも都心の再開発に絡む案件で、特区の対象になると事業に必要な手続きを簡素化できるメリットがある。
 再開発関連では都や民間事業者がすでに16件を提案しており、今後も提案プロジェクトは拡大する見通しだ。提案済みのプロジェクトのうち、同日の会議では三井物産三井不動産が大手町に国際交流・宿泊施設を整備する計画など3件を特区事業として了承した。
 このほか、外国人医師が自国以外の外国人を診療できるようにすることなどを了承した。聖路加国際病院慶応義塾大学病院、順天堂大学付属順天堂医院などで米国や英国、フランスの計5人の医師が2015年中に、特例による診療を始める見込みだ。
 聖路加国際病院と系列の聖路加メディローカスの場合、外国籍患者がこの3年間で6割増えるなど、外国人の医療ニーズが高まっていることに対応する。

本記事では,東京都における国家戦略特区の取組を紹介.
2015年6月15日に開催された国家戦略特別区会議にて,東京都より「当初9区でスタートして以来」「都内各自治体と国家戦略特区制度の活用に向けた協議を進めてきた」結果,「区部」からの「多くの自治体から特区参加提案」があるとともに,「多摩・島しょ地域の全自治体からも特区への参加提案」を受けて,「結果」として「都内全62自治体が特区参加」となり,「政府」への「早急な特区指定を要請」*1がなされている.当初は,「9区」の指定区域から開始,「今後とも各市町村や民間事業者等からの提案も踏まえて区域の拡大はこれから取り組んでいくという方針」*2のもと,東京都に位置する他の市区町村から「提案型」*3を踏まえての漸進的な区域の拡大.
同提案を受けて,政府側は「指定区域の拡大は我々としてもウェルカム」の姿勢にあると述べられており,「今回全域指定」を「政令で定める」ために「速やかに手続きを進めていきたい」*4方針が示されている.ただし,実際の指定には「数か月要する」*5と見立てられている.指定後の展開は,要観察.